第73話 芦屋真名は勉強が出来る様だ


 芦屋真名が俺のいるクラスに来てからあっという間に二週間が経った。彼女の転校を知った、全校生徒が彼女を一目見ようと朝から行列を作る様になってしまい、特別校則には芦屋真名も追加された。


 お昼休みには芦屋真名もなんと手作り弁当を持って来て、俺にやたら食べろと言って美麗をその度に怒らせていた。


 昼食の時間は、何故かこのクラスにいる友達と食べるとか言って他のクラスの生徒が入って来て、大変な事になっているが、それでも騒ぎにはなっていないから問題ない。

 本当に問題ないのか?



 そして迎えた十月の第三週の火曜日から金曜日までの中間考査。学校では賑やかだが、家に帰れば平穏な日々だ。だから俺は一学期末考査の様な事が無いように一生懸命勉強した。

 

 そして考査に臨んだ。手応えは十分で、ケアレスも無いと思っている。この季節になると水やりも月曜と木曜だ。考査の終わった金曜日は、秀子さんが迎えに来て居る。


 あの人は二学期の最初、来ないからもう終わりかと思っていたのだが、九月終わりまで夏休みだったらしく、俺の撮影も有って遠慮していたらしい。だけど履修登録というのが終わったらしく、また俺の登下校に付き合う様になった。


 今日は、一人でというか芦屋さんが隣に居るのだが、校門まで行くと秀子さんが待っていた…のだが、校門の横に大きな車が来ている。


「麗人」

「麗人お兄様。誰ですか。馴れ馴れしくお兄様の名前を呼ぶなんて」

「ああ、俺の通っている道場の人だ。都合で登下校を一緒にして貰っている」

「麗人お兄様。今日は私に付き合って下さい。マネージャの車を校門の傍に用意しています」

 あれがそうか。


「断ります。急に言われても駄目ですよ」

「良いでは無いですか。あんな女より私の方が…」

「芦屋さん、今度と秀子さんをあんな女呼ばわりしたら、俺はあなたと二度と口を利きませんから」

「えっ、…ごめんなさい。言い過ぎました。仕方ないですね。今度お誘いする時は事前にアポを入れさせて貰います」

「そうして下さい」

 それだけ言うと芦屋さんは、車に乗って行ってしまった。


「麗人、何あれ?」

「十月からうちの学校に転校して来た芦屋真名さんです」

「芦屋真名って、女優の?」

「はい」

 また面倒な子が一人増えたな。



 次の土曜日は朝から道場に行って稽古した。やはり稽古が気持ちをリフレッシュするには一番いい。


 山下先輩からも映画撮影でよれた技が元に戻って来たと喜んでいた。撮影は相手の動きにある程度合わせて当たった振りをしたり、当てた振りをしなくてはいけない。それが二ヶ月の撮影で身に着いてしまっていたようだ。

 この道場は防具を付けて寸止め無しで行う。その感がくるっていたらしい。



 そして翌週火曜日に中央階段横の掲示板に中間考査の順位が張り出された。健吾と雫と一緒に行くと


「えっ?!」

 なんと芦屋真名が二点差で一位だ。俺は二位。三位が望月さん。雫が五位で健吾が八位だ。


「麗人、参ったな」

「ああ、驚いている。転校して来たばかりなのに」

「麗人お兄様、今度一緒に勉強しましょう。二点差は少ない様で大きな差です」

「いえ、一人でやります」


 なんか、三年生の所で騒いでいる。また九条先輩と八頭先輩だ。俺はそれを無視して教室に行くと誠也が


「麗人、驚いたな。芦屋さんが一位とは」

「ああ、流石に驚いたよ。まだ転校して来たばかりなのに」

「ふふふっ、麗人お兄様。一緒に勉強しましょうね」

 聞かなかった事にしよう。


 予鈴が鳴って桜庭先生が教室に入って来た。


「皆さん、おはようございます。ご存じとは思いますが、来週火曜日から木曜日までの二泊三日で修学旅行が有ります。

 組分けをしたいと思います。一班五人で八組を作ります。午後のLHRで決めたいと思いますでの皆さん、相談して置いて下さい」


 その言葉の後、全員が俺の方を見た。勘弁してくれ。


 桜庭先生が出て行くと健吾が

「不味いな」

「ああ、分かっている」


「麗人お兄様、一緒ですよ」

 やはり言われた。


「待って下さい。俺は健吾と雫、それに…」

「それに?決まっていないなら私が入ってもいいでしょう」

「それはそうですけど」


―ねえ、聞いた。あと一枠。

―うん、譲る訳には行かないわ。

―おい、聞いたか。早乙女と芦屋さんが同じ組だぞ。

―ああ、残りは一枠。

―どうやって決める。殴り合いか、殺し合いか

―いや、じゃんけんだ。

―そ、そうだな。


 そんな事を耳にしていると誠也がやって来た。

「麗人、どうするんだ。俺も入りたいが、今回はちょっとな」

「ああ、午後のLHRで平和裏に決めて欲しいよ」



 お昼休みは、美麗と芦屋さんの弁当バトルだ。何とか二人とも仲良くして欲しいのだが、肝心の美麗が、家に帰ると


「お兄ちゃん、何よあの人。頭に来る。私だけのお兄ちゃんを麗人お兄様なんて呼んで。止めさせてよ」

「それは言ったんだが、口を開くのはあの子だからな」

「もう、何とかしてよ」


 という感じでとても妥協点が見いだせないでいる。



 そして午後のLHRになった。桜庭先生が

「皆さん、組合わせは決まりましたか」


シーン。


「どうしたのですか?」


シーン。


 クラス委員長の川上が

「先生、麗人の班に入る人が決まらないと他が決まりません」

「どういう事?」

「はい、麗人、小早川、東雲さんそれに芦屋さんが班になると分かったとたんに後の一枠が…」

「そういう事。困ったわね。どうしようかしら」

「先生、じゃんけんがいいと思います」


「でも、皆でじゃんけんしても人数多いから決まらないわ」

「じゃあ、早乙女と皆がじゃんけんして早乙女に勝った人が五人以下まで絞られたら、次にその五人でじゃんけんするとか」

「それは良いわね。早乙女君、前に出て来て」

「俺ですか…?」

「君しかいないでしょう」


 仕方なしに前に出てじゃんけんを始めた。残ったのはなんと三人だ。望月さんと田畑さんそれに誠也だ。


「それでは、じゃんけんして下さい」


 最初はグー。じゃんけんポン。


「あっ?!」


 なんと残ったのは…。もっとも残って欲しくなかった…望月美紀さんだ。最悪だ。

「やったーっ!」


―悔しい。

―何でなのよ。園芸部の時といい、今回といい、なんで望月さんなのよ。

―そうよ、そうよ。

―どこかインチキしているんじゃないの。

―そうだ、そうだ。


「皆さん、変な事は言わない様に。運と実力です」


 確かにそうだけど。


「でも、早乙女君を除くと男子って小早川君だけだよね。もう一人は男子がいいんじゃないの?」

「そうよね。そうだわ。先生。もう一人は田所君がいいと思います」

「「「「「そうよ、そうよ」」」」


「駄目です。決まった事です。じゃんけんは皆さんが同意して決めた事です。決定は覆ません」

 流石桜庭先生。


 しかし、本当に俺や芦屋さんが修学旅行行っていいのか?


―――――

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