(11)
この
そして、僕は何故か、その
この
ああ……。
ほんの数日前の事なのに……遠い昔みたいだ。
自分がやった事の……筈……なのに……自分がやったって実感が無い……。
あれ?
ここは……?
かつての冒険者ギルド本部。
僕を連行した暴徒達は……ゴブリンから、大金が入ってるらしいズダ袋を受け取る。
金なんて……この状況で何の役に立つか判んないけど……。
「言ッタダロ……出来損ナイノのっぽガ……オ前ハ……所詮……出来損ナイダ。出来損ナイノ癖ニ、下ラナイ夢ヲ見タ神罰ダ……。俺達ヲ『ざまぁ』出来ルトデモ思ッタカ?『ざまぁ』スルノハ俺達ダ。『ざまぁ』ッテノハ、オ前ミタイナ出来損ナイジャナクテ、俺達ミテェ〜ナ、マトモナ人間ノ方ガヤルモンナンダヨ……ケケケケケ」
縛られたままの僕を……この建物内のどこかに連れて行こうとしているゴブリンは……意味不明な事を言っている。
「な……何を言ってるんだよ? 人間って言うのは僕みたいなのの事で……お前は……ゴブリンだろ」
「違ウ。忘レタカ? 俺達ノ村デハ……俺達ミタイナノガ、マトモナ人間……オ前ハ……神様ニ引キ取ラレル事ガ無イ欠陥品ダ」
「神様? どんな神様だよ?」
「ココガ……神ノ館。神ニ選バレタ、まともナ人間ハ……ココデ……新シイ姿ニナリ、神ニ仕エル
何を……言ってるんだ……。
いや……何かが……。
『冒険者になってランキング1位になる? 夢見てんじゃね〜よ、ばぁ〜か♪』
突然……頭に浮かんだのは……子供の頃の記憶。
僕をいじめた奴を
でも……記憶の中のいじめっ子達の体は……。
小さい……。
何で……?
何で、僕よりも小さい奴らが……いくら集団とは言え、僕をいじめる事が出来たんだ?
いやだ……。
だから……僕は……誰……?
「連レテマイリマシタ」
「そいつだけ、この部屋に入れて……お前は下がれ」
「ハイ……」
ギルド本部の地下の一室。
どうやら、ここが……僕の……冒険の……旅の……人生の終着点らしい。
そこに居たのは……。
3人。
人間? 人間とエルフ? 何で、
1人は顔まで隠れる鎧に腰にはサムライのカタナ風の曲刀。
1人は……如何にもな「聖女」風の格好の人間の若い女。
もう1人は……魔法使い風の格好の若いエルフの女。……って言ってもエルフなんで実際の年齢は知れたモノじゃないけど……。
「あ……あ……え……えっと……どこかで見たような顔……」
そう言った奴が……おそらく、
でも……その口調は……威厳もクソもないマヌケな……何か……混乱してるような声。
「おい、シュネ……ローア……何で……こいつの顔は……」
待て……その名前は……。
「ど……どうなってんだよ? 何で……こいつの顔……
兜の中から出て来た顔は……顔は……顔は……ああああ……そ……そんな馬鹿な……。
聖女風の姿の女は……聖女らしからぬ舌打ち。
「ま……まさか……
「おい……ローア、何を言ってる。俺の2号機? ドワーフじゃあるまいし……」
「お前、本当に底抜けのマヌケだな……。小人症の人間をドワーフやゴブリンに改造して、使い捨てにするような組織が……普通の人間を使い捨てにしないとでも思ったのか」
その時、エルフの魔法使いが……
「ふにゃっ?」
ドタン……。
「あの……お姉様……こいつ、精神操作のかけ過ぎで、脳味噌ブッ壊れかけてんで……」
「判ってるわよ。でも、丁度良かったじゃない。代替機が、ここに居る」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます