(3)

 みんな……目が死んでいた。

 スーパーヒーローギルドに人命救助レスキューギルドに退魔師ギルド……移籍先の各ギルドに食堂や酒場は有るけど、元・冒険者ギルド所属者は、どこでも肩身が狭いようだ。

 この都市まちの中でも、かなり治安が悪い地区に有る場末の酒場。

 元・冒険者達は、そこに集まるようになっていた。

「そう言えば、ロッシェヴァレさん、最近、見掛けないけど、どうしたの?」

「酔っ払って、この酒場出た後に、チンピラと喧嘩になって袋叩きにされて路上に放置プレイ。夜が明ける頃には死体になってたそうだ」

「お……おい……あの人、ランキング2位のパーティーのリーダーだろ……」

「今更、何、カマトトぶってんだよ? 手前てめぇは憧れのアイドルは糞しないと信じてるガキか? 実力だけでランキング1位になった『黄金龍の勇者』のパーティーが例外中の例外で、他のランキング上位は人気か上層部の都合で決ってただろうがッ‼」

 聞こえてくるのは、陰鬱な話ばかり……。

「おい……姉ちゃん達、お酌してくれよ……女で、まだ、ここに来てんのは……あんたら2人だけだからさ」

「だから……ここ来るの嫌だったのに……」

「出ましょうよ……もう……」

 シャロルとジュリアは泣きそうな表情かお

「逃がさねえぞ……貴重な女だ……」

「そんなに女が欲しいなら、娼館にでも行けば……」

「金がねえんだよッ‼」

「しかも、昔の仲間が娼婦になってんだぞ、ここに居る連中より夢も希望も無さそうな表情ツラでなッ‼」

「いい加減にしやがれッ‼ もう全員、出入り禁止にすっぞッ‼」

 人喰い鬼オーガみたいな体格の酒場のマスターがブチ切れる。

「はぁ? 俺達が来なくなったら、こんな店、潰れ……」

 元ランキング5位のパーティーのリーダーが、そう言った途端、熱々のフライパンが宙を飛び……顔に大命中。

「ぎゃああああッ‼」

「全く……ツケで飲み食いしてる奴に限って、『俺達が来なくなったら、この店潰れるぞ』とか偉そうな事言いやがる。今後、この店は『元・冒険者』お断りだ。全員、ツケ払わなくていいから、今すぐ、出てけッ‼ そして、2度と来るなッ‼」

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