(2)
「また、このパターンか……」
スーパーヒーローギルドの庶務担当は、僕たちのチームの報告を聞いて、そう愚痴をこぼした。
「またって……何ですか?」
「元・冒険者ギルド所属の奴が移籍先で仕事が巧くいかずに、ストレスで……ちょっとね……」
そう言って、庶務担当は自分の頭を指差して「クルクルパー」のゼスチャー。
「そのせいで、『自分は闇堕ちして魔王軍の一員になった』とか『自分達をこんな目に遭わせた一般市民に復讐をしてやるんだ』とか妄想を抱いた挙句……町中でテロを起こす事例が続出してんだ。まさか、君らも……」
「考えてません、考えてません、考えてませんッ‼」
「え……えっと……じゃあ、今回の主犯が言ってた『魔王軍』って、まさか……」
シャロルがそう訊いたけど……。
「十中八九、妄想に決ってるだろ。作り物の角を自分の頭に付けて『俺は魔族になったんだ』と思い込んでる奴が言ってる事だよ」
冗談じゃない。
だが、続いて庶務担当の口から出た台詞は、もっと冗談じゃなかった。
「で、今回は、君達が現場に到着する前に、事実上、一般市民が問題を解決してたんで報酬は無し。あと、元冒険者が問題を起したり、犯罪をやらかしたりするケースが多発してるんで……元・冒険者ギルド所属の人達には精神カウンセリングを受ける事が義務化されそうだから……正式に決ったら、ちゃんとカウンセリングを受けてね」
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