第15話 指輪と新パーティー
「わぁ、外見変わったね
鎧もつけてるし、杖を槍に変えたの?」
「そうだね、帽子もかぶってないしね
髪も伸ばしたのかい?」
「何て言うかさ
以前のは、いかにもな魔法使いの感じだったけど……外見的にエロくなった?」
「そんなことはありません!」
ねりまきとあるえの挑発には乗りません !」
「それでウォルバク先生
私とねりまきも魔法学校を卒業できたけど、魔法の発動体としての杖は用意しなくていいっていうのは?」
あるえの質問にウォルバク先生は妖艶に笑いながら、
「うふふ……
あるえ と ねりまき、それにめぐみんの分の発動体はアラシが用意しているわよ」
注目されたアラシは懐をまさぐって、私達三人の少女に手渡してきた。
「何で私たちが腕輪で、めぐみんだけが指輪なのよ?」
それぞれ、マナタイトが嵌め込んである
しかし、私は指輪をつけようとしていた。
「顔も目も真っ赤よ !」
ねりまきの挑発は無視、無視だ。
「おい、めぐみん
それは魔法の発動体だからな !
それとな、三人共に魔力を蓄えることが出来るように細工してあるから活用してくれ」
アラシが注意して、ウォルバク先生の指導が始まった。
「それじゃあ、皆で間隔を空けて並んでみて。
魔法制御の訓練をしてみましょう」
紅魔族というのは、他の魔法使いに比べて圧倒的に魔力量が違う。
例えば、同じ中級魔法のファイアボールを唱えたとしても、その威力は段違いにすさまじい。
けれども、繊細な魔法制御はどちらかというと苦手な部類で、戦闘においても大魔法の連発で圧倒するのが大半である。
「なかなか難しいね」
あるえも手こずっているようだ。
「三人だけじゃなく、アラシもこれを毎日練習した方がいいわよ !
魔法の範囲を絞ったりすれば、込める魔力が同じでも威力は上がるし、出力を絞れば魔力量の節約にもなるわよ !
特にめぐみんは、爆裂魔法一本なんだから !
魔法を放つ度に倒れるなんて無様なことにならないようにね !」
一時間ほどの訓練の後……
出ようとした森の奥から、モンスターが襲ってきた。
群れをなしたファイアドレークだ !
長剣を構えたアラシを制して、ウォルバクが群れに向き直った。
「ねえ、めぐみん
確かに初めて、あなたにあった時に私は爆裂魔法を使ったわ
でもね、あれは爆裂魔法の威力が必要だったからで、そうじゃないときは違う魔法を使うときもあるのよ」
そう言って行使した魔法は風の中級魔法だった。
「今のは“ブレードオブウィンド”
中級魔法のはずなのに、なんて威力なの……」
「アクシズ教徒に邪神扱いされてるけどね
これでも、正真正銘の女神だもの
魔力量は、紅魔族以上にあるわ !
私が爆裂魔法を頻繁に使うのは、使用後にも対処できるからよ
あ、それと倒したモンスターはあなた達の好きにしていいからね」
そう言い残して、ウォルバク先生は歩いて行ってしまった。
「それで……これ、どうしようか?」
「モンスターの素材として売れる部分は引き取ってもらおう
せっかくだから、あるえ と ねりまきの装備を揃える足しにでもさせてもらう」
「それでお昼近くになりますが、これからどうしますか?」
ねりまき、アラシ、私と冒険者らしい会話が続く
あれから、再度武器屋に行き、あるえ と ねりまきの装備を見繕った。
紅魔族ローブの長さを短くした、ユウヤ特製の物を渡されたあるえは、魔法使い向けの黒衣とショートソードだが、ねりまきはアラシと同様の灰色の皮鎧とメイスだった。
「ねりまきにはな、プリーストの役割をしてもらいたいんだ」
「私、アークウィザードだよ?
回復魔法使えないし………」
「お前ら三人の中では、ねりまきが一番器用なんだ !
このまま回復魔法を覚えるのは無理かもしれないが、転職すればアークブリーストになれるだけのステータスはある
今日、アクセルでのクエストを済ませてから考えよう」
そう言ってアラシが私達に渡してきたのは銀色に輝くサークレットだった。
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