第6話 六畳一間で猫は飼えるか

 初めての一人暮らし。親が猫嫌いだったから飼えなかったけど、これでやっとネコが飼える♪な人に向けた話です(なぜ)

 ワンルームや1Kで猫が飼えるかどうか。結論からいくと、飼えるけど猫への愛と忍耐がかなり試されます。具体例を挙げていきましょう。

 まずみんなが飼いたい子猫。言うまでもなく猫の赤ちゃんです。ちょっと人間の赤ちゃんが飛び跳ねる様を想像してみてください。猫の赤ちゃんってそんな感じです。なのでまずケージを用意しましょう。そして少なくとも生後半年ぐらいまでは、長時間一匹にするときはそこに入れてください。可哀想とかじゃないです。不慮の事故で猫が死ぬのを防ぐためです。

 この家庭内での不慮の事故、わかりにくいと思うので具体例を挙げます。電気のコードを噛んで感電。人間が気がつかなかった小さなボタンなんかを飲み込んだり、服やおもちゃの紐に絡まって窒息。布の下にいたのを人間が気が付かずに踏む。こういう死に方のほうがよっぽど可哀想だと思うので、マジでケージは必要です。

 ただ問題はケージの大きさですよね。中にトイレと水とごはんを置くとなると50cm×60cmは最低限欲しいところ。ワンルームでそれが置けるのか・・・収納次第でしょうけど物が多い人には難しいと思います。

 ならば1歳を過ぎた猫を飼って、ケージなんか使わなければいいという方もいらっしゃるかもしれません。確かに一歳を過ぎれば猫はそれなりに落ち着きますが、猫って一生子どもです。突然家の中を走り回ったりします。夜中だろうが人間が病気で寝てようがおかまいなしです。プロの猫飼いならばどんな状態でも猫を優先できるんでしょうが、普通は無理ですよ? 布団を被ってひたすら耐えるかケージに入れて落ち着くまで待つかです。それでも鳴き声はシャットアウトできませんけど・・・

 ただこれだと耐えればケージ不要と思う人が多そうなのでケージがあった方がいい理由をもう一つ。

 料理中に猫にウロウロされると本当に危ないです。1Kならドアを閉めればって思うかもしれませんが、そうすると冷暖房が届かなくなります。暑い台所で火を使って料理するのしんどいです。あと消防点検や引っ越し等で頻繁に玄関を開け閉めするときにもあった方がいいです。

 さて次に用意するのはケージだけじゃありません。当然餌や猫砂なんかも必要です。この餌や猫砂がね、それなりに保管場所が必要なんです。餌に関しては1匹飼いなら2kgとか4kgぐらいのカリカリを買う人が多いと思います。これを猫が悪戯できない場所に保管することが必要です。猫砂も消耗品だし重いからネットで買うとなると大体4リットルとか5リットルを数袋まとめて買います。これも猫によるんでしょうけど、猫が袋を噛んでぶちまけることもあるのでできれば扉付きの場所に入れておきたい。ちなみに米袋もうちの猫は破るのでちょっと置いとくとかできないです。あとシステムトイレを使うならペットシートの保管場所も必要です。猫のおもちゃも消耗品だしすぐ飽きるので飼い主は次々新しいおもちゃを買います。それにたまにはカリカリだけじゃなくチュールとかウェットフードもあげたいですよね。冬用にあたたかい猫ベッドとか、逆に夏用の涼しいベッドとか・・・猫グッズはキリがなく増えていきます。ただ勘違いして欲しくないのは、飼い主が買いたくて買っちゃうんですよ。だって猫かわいいから。

 ということで、猫関連のグッズ置き場もそれなりのスペースが必要です。自分の物を減らしてでも猫グッズを置けるかという愛を試されます。

 次に生活スペースが常に猫と一緒ということは、猫トイレが常に横にあるってことです。これね、慣れるっちゃなれるんですけど、しんどいっちゃしんどいです。

 まず人間の食事中の排泄率結構高いです。おいしい出来立ての料理を食べてる最中に漂う糞の匂い・・・我慢して食べ続けるか、食事を放置して片づけるか。仕方なく急いで糞を片付けてると猫が人間の食事を舐めてたりします。おみゃーの後始末をしてんだよ!と叫んでも猫は元気に走り回るだけです(ウンコハイ)。

 猫と一緒に寝るのが夢という人もいるでしょうが、これも向き不向きがあります。人によっては数匹の猫に囲まれて一晩中寝返りもしないという話も聞きますが、普通に考えてください。疲れ取れませんよ? でも寝返りうつと猫が嫌がるんです。最終的には飼い主の体力の問題になると思います。あと夜中に猫砂を掻く音も割と大きいんですよ。敏感な人だと都度起きちゃうと思います。

 人が寝てても走り回ったり、ご飯を要求してくるのが猫です。さあ、あなたの愛はどこまで耐えられるのか。もう一部屋あればなぁとか後から思わないか。本気でちゃんと考えてくださいね。

 あとインテリアに拘りたい人もちょっと厳しいですね。まず小さい飾りは落とされて蹴られてどっかに消えます。花もなかなか飾れません(猫に有毒だったり花瓶倒されたりで。やつらは植木も倒すので注意です。)布製品は爪とぎされますし、全てがすぐ猫の毛まみれになります。

 金銭面については部屋の大きさはあまり関係ないと思うので割愛。ただ冷暖房費は一生それなりにかかるのでそこをケチりたい人は飼わないでください。猫かわいそう。

 このように猫はあなたの全てを要求します。愛に始まりお金、時間、忍耐、睡眠、体力。旅行にもなかなか行けませんし、人を家に呼ぶのも呼びづらいです。相手の服が毛まみれになるけど大丈夫かとか、アレルギーはないかとか猫が怯えてひっかかないかとかで。

 長々書きましたが、私の総論は六畳一間で猫は飼える、ただし大人の落ち着いた猫が望ましい。です。子猫を飼いたいなら猫に全てを奪われることを覚悟して飼いましょう。猫は”可愛い”で返してくれます。それで納得できる人だけ、どうぞ。

 猫はマジで可愛いだけ。色んな意味でね。

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