500文字で書く小話
海乃マリー
食洗機
三年前に新調した食洗機のフィルターにゴミが溜まっているのを見つけ、フィルターを掃除することにした。ものの三十秒水洗いするだけなのだが、面倒で目に余るまで放置していた。
食洗機の底にあるフィルターには昨日の夕飯の米粒とワカメが乗っていた。ワカメはちょっと気になるな。
『「ザンザイフィルター」を掃除してください』
というフレーズが、突如、頭の中に浮かんだ。
懐かしのフレーズだった。
それは、新調する前の旧食洗機が毎回言っていたものだった。
今更だけど「ザンサイ」って何だろうな。
洗い上がった食洗機を開く度、毎朝毎晩、口酸っぱく十年間言われ続けていたけれど、特に疑問に思わず聞き流していた。
聞き間違えでなければ「ザンサイ」と言っていたはずだ。
ちょっと気になったので
ネットで「ザンサイ」と検索すると
残債、残菜、残滓などと出てきた。
フィルターの場合は「残菜」だろう。
今は亡き食洗機が私の中に残した小さな爪痕だった。
十数年越しに意味を知った話でした。
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さっき起きた実話でした。
ただの無知!?
その時はわからなくても時を経てからその意味がわかるといいことありますね。
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