第49話 ダンジョン育成高等学校、ペア対抗戦。

「ふぁああ」

「夜更かしでもしたの? 美琴」

「うん、ちょっといつもの研究・・をね」

「偉いなあ。無理しないでね」

「えへへ、頑張るよ」


 教室での美琴は、いつも眠たそうだ。

 遅くまで何かしているらしい。できれば力になってあげたい。


 ただいつも「秘密」と言われてしまうので、応援の言葉を掛けることぐらいしかできないが。


「風華さん、昨日の配信も見たよ。面白かった」

「えー黒ブラくんありがとう! えへへ、嬉しいなあ」


 彼女も決して配信を欠かさず、ファン・・・の為に頑張っている。

 ブラックシュヴァルツの人気があるのは、風華さんの存在が一番大きいだろう。


 ローザも毎日新しい厨二言葉を覚えて来るし、ジョーヌは――。


「あれ、なんかちょっとだけふくよかになった?」

「え、えええ!? そ、そうですかね!?」


 気づけば最初に会ったときよりも大きくなっている気がした。

 身体というか、たゆんが。


 栄養が全部たゆんにいくタイプなのだろうか。


 施設のときは小さかったのに、人間の成長はすごいな。

 後いつも朝からほっぺにカレーが付いていることが多い。


 そういえば、どこに住んでるんだろう。


「ジョーヌ、我に力を与えてくれたまえ」

「え、どういうことですか?」

「力だ。わかるだろう? その胸に聞いてみるのだ」

「ふええ? む、胸さーん?」

「ふ、これもまた真理ということか……」


 二人のよくわからない掛け合いも随分と慣れてきた。


 だが大きく変わったことがある。

 教室を見渡すと、それぞれの魔力が向上していることだ。


 下等部のテストを経て研鑽を積んでいるらしい。


 ごんぞうくんの身体はより大きく、金魚くんとフーンくんは、より細くなっていた。

 いや、引き締まっているのか?


 ちょっとそのあたりはわからないが。


  ◇


 ”キマシタワー”

 ”配信久しぶりで楽しみです”

 ”ニンニンを見に来ました”

 ”ニンニンブラック”


 ドキッとするコメントが、ホログラムで表示されていた。

 いつものジャージ姿の朱音先生が、気だるそうにしている。

 ちなみに右手には木刀を持っているが、理由はわからない。


 授業配信、身体測定、下等部テストときて、次は――。


「事前に告知してた通り、ペア対抗戦だ」


 テストと同じようなバトル戦。

 だが今回はペアだ。ダンジョンを想定したB棟を丸々使った贅沢な授業である。


 ”楽しそうだ”

 ”ペアの相手がいない場合はどうするんだろ?”

 ”確かに”

 ”事前に告知ってことは期間もあったんだね”


 コメントの通り期間は指定されていた。


 美琴は風華、ローザはジョーヌ。


 そして俺は誰も決まっていなかった。

 というか、正直必要ないと思っている。


 基本的にソロで行動していたし、学園で手加減しないと決めてからは常勝だ。


 今回も1人で良かったが――。


「よお黒羽、良かったらどうだ?」


 声をかけてくれたのは、ごんぞうくんだ。

 金魚くんとフーンくんがペアを組んでいるらしい。

 彼のことだから、俺はいいといったのだろう。


「ごんぞうくん……俺でいいの?」

「いや、むしろお前がいいんだ。昔は煽って悪かった。今は認めてるぜ。俺たちが組めば一位は間違いないだろ。どうだ?」


 ごんぞうくんの盾の能力はめずらしい。

 なぜなら能力には個性が反映される。


 自分が強くなるよりも他人を守りたいだなんて思う人はなかなかいないだろう。


 根はやさしい事が、能力を通じてわかる。


「――ニンニンよろしく


 そして俺は、手を取った。

 既に脳内が切り替わっている。


 ”前回の一位と二位が手を組んだのか、これは胸熱”

 ”いや、でも研究されてるだろうし不利の可能性も”

 ”楽しみ。どんな戦い方になるんだろう”


 さあ、今回も一位を獲ろう。


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