第一章・第五十六話 Destory & Create(破壊と創造)

969 協調と強制

 第一章・第五十六話【Destory & Create(破壊と創造)】が始まるよぉ~~~♪

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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 056【Destory & Create(破壊と創造)】


 『大いに盛り上がったライブ……でも、本質が、なにも解ってないんじゃ、意味が無い』


 ……そぉ。


崇秀・奈緒ネェ・ステラさん・ミラーさん・シゲさん。

それに3B-GUILDの面々に、私を加えた大量の人数でステージに乱入し。

歌謡コンクールの時間を後にずらしまでライブを敢行。

元々歌謡コンクールには無関心で、3B-GUILDのライブを目的にしていた観客の皆さんは、勿論、盛大に盛り上がってくれ、私達自身も凄く満足の行く結果のライブが出来た。


それは……大いに結構な事だと思える。

順風満帆に物事が進んだ事に対して、なにも悪い事など存在する筈もない。


でも……それは、表向きの成功だけをピックアップした時の話だけに過ぎず、万事、それが全てと言う訳ではない。

残念ながら、世の中と言うものには、そんなに単純な物だけでは計り知れない物があるからだ。


例えるなら、そぉ……物事には表裏がある様に、なにかの成功者の裏側では、耐え難い苦痛に耐えている者も居る。

それこそが、成功の裏に隠された本当の世の摂理。

故に私には……この件に関して、どうしても1つだけ気掛かりな事があり。

あんなに盛大に盛り上がったライブですら、心から素直に喜べないで居た。


私に、そう思わせるのは、まさに崇秀と、真琴ちゃんの様な表裏の関係の中に有り。

崇秀の音と、真琴ちゃんの音との根本的な違いを指すものでもある。


今しがた終わったライブでも、それが顕著に現れてしまっている。


2人が同じ様な『演奏を強制する』音を奏でていたにも拘らず、この両者には、ある2つの大きな開きが有るからだ。


それは……『ライブの成功で喝采を浴びる者』と『ライブの裏方で喝采を浴びない者の差』だ。

この明暗とも言える差を分けたのが、先程も言った……2人の『音の質』の違い。


事を明確にする為に、もっとハッキリと言ってしまえば。


【崇秀の演奏】


それは、明らかなまでの音による人の完全なる支配。

ステージにある物全てを音で強制し、ライブの支配者として君臨する為だけにある王者の音。


故に……崇秀以外の演奏者にしてみたら、ある意味、地獄の様な時間でしかなく。

それだけに、全員でライブを作り上げた達成感が全くと言って良い程無い。

ただ只管に全てをプロデュースされ『操られて成功しただけの様な感覚に陥る』可能性が非常に高い。



それに対して……【真琴ちゃんの演奏】


コチラは、同じ音の支配をするにしても、何所か他人に対してでも協力的な音で、優しさを感じる支配。


だから、同じステージに上がって演奏する者にとっては、ある程度の音の支配による苦痛を伴うものの、基本的には、全員が楽しく演奏が出来る音と言う理解が出来る。


その証拠に、真琴ちゃんの演奏には、自由に自分を表現出来る部分が多岐に渡って見受けられる。

これがある事により、自分の表現したい意思を音に入れ、他の奏者も独自の世界観で演奏をする事が出来る。


それ故に『みんなで分かち合う達成感が大きい』



……此処の差は大きい。


同じ苦痛を伴うにしても、その心持ちが『完全に操られる』と『みんなで分かち合う』とでは全てに置いて真逆。


メンバーから受ける印象が違い過ぎる。


現に……今、みんなでライブが終わったステージから引き上げて、急造で作られた小さな楽屋に溜まってるんだけど。

真琴ちゃんの周りには、一緒に演奏した皆さんが集まって来て歓談をしている。


でも……崇秀は、此処にすら居らず、また次の段階の裏方の仕事をしている。


この差こそが、崇秀が賞賛する真琴ちゃんの最大の武器でもあり【利潤を超えた関係を作れる才能】

真琴ちゃんに有って、唯一崇秀が持ち合わせていない才能だ。


何故、私が、此処まで、この話に拘るのかと不思議に思われるかも知れないけど、当然、そこには理由が有る。


この辺についての事を、崇秀が酷く気にしている所が見え隠れしているからだ。


『自分には、利益関係でしか人は集まらない』

……そう言った崇秀の、少しだけ悲しそうな表情が目に浮かぶ。

その事を思うと……矢張り、素直に今の状況を喜べない処か、正直言えば、この状況すら受け入れる事すら出来ずに居た。

だって……このライブの大きな成功の裏では、ライブの構成を考えた崇秀の動きがあればこそ成功した物に過ぎないのに、誰も、そんな彼を賞賛しようとすらしていない。


いつも崇秀は悪役で損な役回りばっかりだ。


一番、みんなの事を考えて企画を立ててくれている人間なのに……可哀想過ぎる。

誰も……この事実を理解しようとはしない。

眼の前に転がってる上辺だけのツマラナイ成功にばっかり眼が行ってしまい、本質と言うものが、なに1つ見えていない。

いや、見ようともしていない。


実に……悲しい現実だ。


だから私は……みんながライブの成功で盛り上がってる会話の中には入らずに、壁に凭れたまま一歩たりとも動こうとはしなかった。


みんなで盛り上がってるって言うのに……和を乱す様な真似をして、ゴメンね。


でも現状じゃあ、どうやっても盛り上がれる気分には成れないのよ。


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【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

今回から第一章・第五十六話【Destory & Create(破壊と創造)】が始まった訳ですが、出だしは如何だったでしょうか?


まぁ、眞子の愚痴の様な物から始まったので、まるで倉津君視点の様な始まりに成ってしまったのですが、現状を考えたら、崇秀の彼女である眞子から、こう言う愚痴が零れてしまうのも当然の事。

ファンタジーで言う所の倉津君(勇者)と崇秀(魔王)の差が明確に現れたシーンでもありますので、どうしても眞子には納得出来ない部分があるんでしょうね。


さてさて、そんな眞子にとってはあまり良い環境ではない現状ではあるのですが。

この後、盛り上がる会話は、一体、どう言う流れに成って行くのでしょうか?


次回はその辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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