944 割り切るべき大事な部分

 倉津君&崇秀VS眞子&奈緒さん組の歌謡コンクール対決!!

そんな中、早くも行動に移したのは奈緒さん。

前以て、この様な事態を想定していたのか、即座に誰かにオファーを掛けてる様子なのだが……


***


「ねぇねぇ奈緒ネェ。今、誰と話してたの?ひょっとして、今日のライブでバンドのメンバーになってくれそうな人?」

「うん?あぁ、そうだよ。今日の勝負は突然の事ではあったんだけどね。以前から、仲居間さんに勝つ為の強力な助っ人にはオファーを掛けていたからね。もぉ直ぐ、此処に到着すると思うよ」


そう言って、パタンっと携帯電話を閉じるんだけど……


うわ~~~……ヤッパリ、予想に反する事無く奈緒ネェは、この勝負以前の問題として、いつか何かしろ崇秀との勝負が起こる事を想定していたのかして、トンデモナイ人を召喚してたみたいだね。


ホント奈緒ネェは勝負事になると容赦が無いよねぇ。


……でも、誰が、この場に来てくれるのかは知らないけど、序に、その人の技術も貰っちゃお。


奈緒ネェさぁ。

……ゾウさんチームに勝つ為に、バンド内部に潜伏してる私と言う『敵』に塩を送っちゃってるよ。


敵に塩を送っちゃうなんて、奈緒ネェの前世は、上杉謙信なのかな?


ふふふっ……♪



「そうなんだぁ。……ねぇねぇ奈緒ネェ。その人って、私も知ってる人ですか?」

「知ってるもなにも。今日のライブでギターを担当してくれるのってステラだよ」

「えっ?ステラさん、なんですか?……けど、ステラさんって、此処1年近く、全然お見かけしなかったですけど。今、日本に居られるんですか?」

「あぁステラは、今年の頭から日本には居なかったねぇ。あの子は、クラが失踪して直ぐに、クラを探しにアメリカに行ってたからね」


あぁ……ステラさん。

ヤッパリ、心配してくれて、アメリカに行ってまで真琴ちゃんを探してくれてたんだね。


あの人も口は悪いけど、ホント、どこまでも良い人だね。


それに相変わらずの、お人好しみたいだし。



「あぁ、そうなんですか。また真琴ちゃんが、余計なご迷惑をお掛けしちゃいましたね」

「あぁ、まぁ、そうだね。けどステラは、元々あぁ言う性分だからね。クラの失踪に、居ても、立っても居られなかったんじゃないのかな?それで即座に行動に移した。実にあの子らしいよ」

「ホント、優しい人ですよね。でも……今日の、この日に、よく間に合いましたね」

「あぁ、うん。一昨日の晩に仲居間さんから、私に『クラ復活の電話が入ってたから』直ぐにその足でステラにも連絡して上げたのよ。そしたら、いつも通り、急遽来日してくれたって話。ホント、あの子の行動力には感心させられるよ」


そっかそっか。

やっぱ良い人だよね。


あぁでも、本当に色んな意味で良い人が来てくれたもんだね。


だって、ステラさんの得意技はブースト系でしょ。

そこに私のブーストを加えたら、どんな相乗効果が生まれるのか……これは見ものだよね。


演奏する前から、凄く楽しみだ♪


けど、Wブーストを掛けられた相手って、どうなるんだろうね?


ふふふっ……♪



「へぇ~~~、真琴ちゃん。相変わらず、ステラさんに愛されてますね」

「あら。なんか拍子抜けな上に他人行儀な言い様をするんだね。眞子の事だから、もっと感動するのかと思ってた」

「あぁいや、本心じゃ感動してるし、嬉しく無い訳じゃないんですよ。私自身、ステラさんも、ステラさんの音も好きですし。……でも私は、一応、ステラさんを知らない設定に成りますし。女の人だから、特に興味はないですからね」

「えっ?……眞子」

「あぁ、はい」


なんですかね?


私、また、なんか変な事を言いましたか?



「いや、眞子。今、なんて言ったの?ステラだよステラ」

「あぁはい、ステラさんですよね。十分に解ってますよ」

「えっ?でも、ステラ、わざわざクラの事を探しにアメリカまで行ってくれてたんだよ。それを、なんとも思わないの?」

「あぁ、はい。真琴ちゃんが復活した以上、今の私には関係ない話ですからね。別に、これと言っては、なにも感じませんけど」

「そんな言い方って……どうしちゃったの眞子?」

「なんでですか?ステラさんは、真琴ちゃんを探してた訳で、私を探してた訳じゃないんですよね?だったら、今の私には関係なくないですか?」


奈緒ネェの方こそ、どうしちゃったんだろうね?

豪く変な事を、真剣な表情で聞くんだね。


だって、真琴ちゃんが、この世界に戻って来たんだから、私……もぉ真琴ちゃんとは別物ですよ。


そりゃあね。

奈緒ネェの言う通り、感情面では凄く感動してるし、気持ち的にも凄く嬉しいんですよ。

本心で言えば、ステラさんに逢った瞬間にでも、嬉しくて抱きしめたい気分です。


……でもね、奈緒ネェ。

それは元倉津真琴であった私の個人的な感情であって、これ自体は、もぉ絶対に表面上に出しちゃいけないものなの。

今後いつまでも、そう言うアヤフヤな事をしてたんじゃ、私の中で示しが付かないし『つい』なんて事も有り得ちゃうかも知れない。


もし何かの拍子に、この感情が表に出ちゃったら大変。

そんな事に成ったら、今の真琴ちゃんが、今後色々とやり難くなる可能性を秘めてる。


だから私は、ステラさんを、初対面の知らない人間として接しないとダメなんですよ。



「関係ないって、眞子。……幾らなんでも、それは、ちょっとないんじゃない?」

「どうしてですか?私、ステラさんの事、なにも知らないですから。そうなっても自然なんじゃないですか?立場上、知ってちゃおかしいんですから。その辺は徹しないとダメだと思うんですけど」

「そうだけど……」

「あの、奈緒ネェ。此処だけは絶対に割り切らないとダメな所だと思いますよ。私が妥協しちゃいけない点だと思うんです」

「えっ?」

「あの、こう言っちゃあなんなんですけど。真琴ちゃんが帰って来た以上。今後、私は、もぉ眞子でしかないんです。なので、そこを徹しないと、全部が全部グダグダになっちゃいますからね。私は、私なりに、ステラさんとは新しい関係を構築したいと思ってるんですよ。……だから決して、表面上ではステラさんの行動に感動してはイケナイ。……でも、心の中じゃ凄く感動してます。そう言う二面性が必要だと思うんですよ」


解って下さいね。

私も精一杯努力して、もっともっと眞子に徹していきたいと思いますんで。


良かったら……それに協力して下さい。



「そっか、そうだよね。……でも、イキナリあんな事を言うから、ビックリしちゃったよ。あんまり脅かさないでよ」

「あぁ、ごめんなさい。言葉足らずでした。……でも、奈緒ネェなら、きっと、なにも言わなくても解ってくれるかなぁって思っちゃったんで。ホントごめんなさい」

「あぁ、謝らなくて良いよ。私も気付いてあげられなかったしね」

「じゃあ、おあいこって事で良いですか?此処は1つオマケして下さいね」

「うわっ、なに、この可愛い生き物?」


そうですかね?


でも、奈緒ネェ相手だから、なにも狙って言ってる訳じゃないんですよ。

これは眞子的にも素ですよ素。



「でも、眞子。あんなに仲が良かったステラの事を、そう簡単に割り切れちゃうものなの?」

「あぁそれに関しては、恐らく大丈夫だと思いますよ。さっきも言った通り、また仲良くして貰う為に新しい関係を構築すれば良いだけの話ですから。……だから辛いのは最初だけですね」

「そっか」

「それにですね。女が女を見る時は、その人の良い箇所を盗もうとする時です。だから、今までとは違った観点で、ステラさんの事を見る事も出来ると思いますよ」

「うわぁ~~~っ、なんか、ちょっと見ない間に、アンタって、ほんとヤナ感じの女に成っちゃったね」

「あぁ、すみません。気付かない内に、なんか自然に、こんな感じに成っちゃいましたね。でも、確かに嫌な感じですよね」


……反省ですね。


でも、そんな自分も、意外と嫌いじゃなかったりするんですよね。

だって、私の周りの女の人って、みんな綺麗な人ばっかりだから、いっぱい、いっぱい盗む所が有りますからね。


良い先人達が居るんだから、色々な部分を盗まないと大損ですしね。


私は、そんなパクリ魔なんですよ。



「嘘嘘。眞子は可愛いよ。その分じゃ、私と離れて1人になってからも、いっぱい苦労してたみたいだね」

「あぁ、はい。私に出来る事なんて、かなり限定されますけど、それでも精一杯は頑張ってみました」

「あぁ、もぉ、可愛いなぁ。久しぶりに、チュ~しちゃおうかな。眞子、チュ~して良い?」

「あぁ、良いですよ。でも、ノーカンですよ。奈緒ネェは女だから」

「うわっ、可愛くない事を言うねぇ。昔は、あんなにお姉ちゃんの事が好きだって言ってくれてたのに。なんか凄く寂しいなぁ……しくしく……」


ふふっ、もぉお姉ちゃんたら。


私を、からかうの好きなんだから。



「奈緒ネェ……それ、凄くわざとらしいよ。そんなんで、簡単に騙されるのって、多分、真琴ちゃんぐらいのもんだよ」

「チッ……やっぱダメか?同姓相手だと、こんなんじゃあ、簡単に見破られちゃうか」

「ですね。私も、これでも女なんで、直ぐに解っちゃいますね」

「だよね」

「ですよ」

「ふふっ……でも、ホント可愛いなぁ、ウチの妹って」


ホント、奈緒ネェだけは……そんな事バッカリ言ってからに。

でも、崇秀と同じ位、大好きですよ。


お姉ちゃん♪


……っと、奈緒ネェと、そんな感じで、楽しく言葉でじゃれあってると、奈緒ネェの背中を『トントン』っと叩く人が居た。


当然、此処はステラさんの登場だよね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子……意外とこの辺に関しては、キッチリと割り切ってるみたいですね。

あんなに仲の良かったステラさんとの関係も、一旦はリセットを掛けて、再度彼女との関係を試みる覚悟が出来てるみたいですし。


……とは言え、相手はステラさん。

そうやって、眞子の思い通りに事が運ぶのかどうかは微妙な所。


次回は、そのステラさんとの遭遇を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る