第299話
前にやった、他人の魔術の代理公使だ。
ヒーシャに関しては、攻撃魔法は本人が使うよりも俺が使うほうが柔軟に使える。
もちろん、支援魔法に関しては代理で使う必要皆無だが。
ヒーシャの周囲に出現した光魔法が、闇魔法を迎え撃つ。
ヒーシャのMAGとタウラスの魔法攻撃力にはそこまで差がないのか、両者は激突すると相殺して消えていく。
だが、おかげで回避は非常に容易となった。
このまま影を倒してしまえばいい。
そう思った瞬間に、タウラスが仕掛けてきた。
「う、わああ!」
ナフを攻撃する。
慌てて斧で受けたナフ、そこに影の攻撃が迫る。
「ナッちゃん!」
慌ててヒーシャがバフをナフの防御に切り替える。
ダメージはなかったが、それでも結構ギリギリに思えた。
『ありがとうヒーシャ! デバフが結構効いてたから、防御バフないと結構しんどかったんだ』
『ううん、それより気をつけてね、ナッちゃん』
理解ってる、とナフがうなずき戦闘は激化する。
連携が取れていれば有利を取れていたが、影のせいでそれもできない。
デバフが効いていて反撃もおぼつかない。
そのうえで攻撃を仕掛けてくるタウラスは脅威だ。
だが、
『またタウラスが近づいてきた。ここで一撃いれるぞ!』
『ピンチをチャンスに、だね!』
タウラスが近づいてきた。
先程の弾幕と影の足止めで近づけなかったのに、のこのこと向こうから。
ここで利用しない手はない。
俺は、雷神・極彩のバフをATKに集中させ、ダイヤモンドオーガの影を吹き飛ばす。
そのまま、影とタウラスに翻弄されるナフの元へ向かい。
次の手を打つ。
「斬華!」
範囲攻撃必殺技、残華。
味方がいる場面で使うのは若干躊躇われるが、それでも使えないわけではない。
ようは、味方に当てなければいいのだ。
俺は今、ヒーシャに背を向ける立ち位置にある。
結果、
『今だ、伏せてくれ、ナフ!』
『うん!』
ナフに当たらないよう合図を送るだけでいい。
向こうがそれを読んでいるかは知らないが、どちらにせよ――
「らぁ!」
――影はまとめてふきとばせる。
ナフの頭を掠める横薙ぎ。
揺り籠をつかってATKはかなり上げてある。
影程度なら、一撃で吹き飛ばすには十分だった。
『タウラスは!?』
『いない!? どこ!?』
だが、タウラスの姿がない。
確か、攻撃を当てる直前は両腕をクロスさせてガードしていたはずだが。
『気配……まずい、ヒーシャの足元……!』
「――え!?」
クロが気配を察知して。
しかし遅かった。
地面から現れたタウラスの手が、ヒーシャを掴んでいた。
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