第182話
「邪魔だぁ!」
剣を振るいながら、中ボスどもをボコしていく。
ここからは、もはや遠慮は無用。
サーチハンドを用い、揺り籠でダメージを受けないギリギリのDEFで戦っていく。
とはいえ、クソATKのミノタウロスがいるもんだから、あまりDEFは下げれないけれども。
それでも治癒バフと雷魔法のバフ込で95まで下げることができる。
これが具体的にどれくらい影響が出るかというと――
「ようやく、一方的にお前をボコせるな! ダイヤモンドオーガ!」
そういいながら切りかかったダイヤモンドオーガに、俺はダメージを与えた。
ATK5分の1とかいうクソみたいな装甲を持ってるダイヤモンドオーガにすら、大きなダメージを叩き出せるくらい。
「――!」
もちろん、一撃では倒れないがそれでも。
のけぞったところを、滅多斬りにするくらいはできる!
ダイヤモンドオーガが崩れ落ち、倒れた。
あの強敵が、こうも簡単に。
我ながら、ずいぶんと成長したものだ。
しかしそれでも、これまでとは比べ物にならないくらい、敵が厄介だ。
というか、クレーターを縦横無尽に飛び回る死弐鰐とミノタウロスが厄介だ。
他はダイヤモンドオーガを始め、あまり機動力は高くないのだが。
この二体だけ、雷神の機動力についてこれるのだから困ってしまう。
斬華で振り払おうにも、一発で倒しきれないから周囲にどんどん魔物が集まってしまう。
このままでは、せっかく起動した斬華が無駄打ちになる。
後二本しかないのに、それはまずい。
一瞬でも、動きを止める方法があれば――
そうだ。
『ヒーシャ、いまから空中に飛び上がるから、俺を目標に光の壁を使えるか?』
『も、目視できれば行けると思います!』
さすが、俺とヒーシャの距離はかなりのものになっているはずだが、目視さえできれば問題ないとは。
とんでもない精度である。
俺だったらある程度の集中が必要だろう。
ともあれ、即座に空中へと飛び上がる。
空中で滞空するのは、諸刃の剣だ。
周囲に魔物がいないから、状況を抜け出せる可能性がある。
だが、身動きが取りにくくなるので集中砲火を受ける可能性もある。
しかしそれは見方を変えると、集中砲火さえ何とかすれば、この膠着を抜け出せるかもしれないということだ。
だから俺は光の壁を使ってもらうことにした。
これには、攻撃を一瞬だけ押し止める効果がある。
AGIが自分を大幅に上回る相手と戦う上で、ナフはこれがないとまともに打ち合えないくらい重要な“一瞬”だ。
『い、今です!』
そして、俺の手はそれだけで止まらない。
光の壁が出現すると同時――
「水よ!」
水球を周囲に浮かべた。
これも、ノックバック効果で魔物を遠ざけられる効果を持つ。
二つの魔法を使って、接近する死弐鰐だのミノタウロスだのを弾き飛ばしつつ。
俺は、弾いた魔物の中の一体を足蹴にして、一気に核へと接近する。
――斬華の効果時間が終わった。
残るは一本。
この一本で、頼むからこの戦闘にケリをつけさせて暮れよ――!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます