第8話
兎狩りは続く。
どうやらドロップはランダムらしい。
角は中々落ちないようだ。
皮もそんなに落ちない。
肉はかなり落ちるが、正直あまりいらない。
肉を食べれるのは嬉しいけど、だからといってこんなにあっても食べきれない。
レベルは2上がった。
NAME:ツムラ
LV:12
EXP:660(NEXT:120)
HP:75/75
MP:53/65
ATK:60
DEF:60
MAG:60
MID:60
AGI:60
SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』『治癒魔法:初級』
MPはいくらかウサギ先生を倒すのに使った。
火魔法の的にするのにも、先生はちょうどよかったのである。
個人的には、物理で殴るより火魔法で攻撃した方が当てるのは楽だ。
ただ、MPを使っているからか、物理よりもダメージがありウサギ先生を倒すのにはいささか過剰火力に思える。
どうしたものか。
インドア派としては、魔術を極めたい気持ちもある。
というか、こういうファンタジー要素の研究ってオタクの夢の一つみたいなところがあるよな。
「でもまぁ、今はそもそも研究しようにも、発表する相手もいない」
見せる相手がいないんじゃ、宝の持ち腐れもいいところ。
今は毎日を生き抜くことに集中しないと。
「ならやっぱり、しばらくはウサギ先生相手に戦闘訓練か」
というわけで、数日かけて戦闘訓練を行う。
大事なのは、向こうの攻撃を待ち受けるだけでなくこちらからも仕掛けられるようにすることだ。
なにせ、正直未だに俺は戦闘にビビっている。
このままでは行けない。
克服のためには、少しでも積極性を持たないと。
が、そこでも問題が発生した。
「攻撃当たらねぇんだけど!」
こっちが攻めの姿勢を見せると、今度はウサギ先生が引いてしまう。
レベル差で勝てない相手と悟っているのだろうか。
でも、こっちが待ち構えると攻めてくるので、そこは動物の性かもしれない。
攻撃は、反撃よりも自分から攻めるほうが当てにくい。
突っ込んでくる時は一つの方向だけを意識すればいいが、避けられるとなると話は別。
避ける方向は無数にあり、どこに避けるかを直感的に判断しなくてはならない。
悪戦苦闘は続く。
だが、ある時閃きを得た。
それは、ウサギ先生の攻撃を回避したときのことである。
ウサギ先生はこちらに向かって突撃してきた後、一瞬脚を止めてから勢いよく飛びかかってきた。
速度のギアが一段階上がり、回避が難しくなる。
「そうか、緩急をつければいいんだ」
まぁ、俺とウサギ先生ではAGIの差がでかすぎて、緩急なんて認識することすらこれまでなかったんだが。
でも、コツを掴めば簡単だ。
ウサギ先生に勢いよく接近し、拳をそれ以上の速度で振り抜く。
面白いほどに攻撃が当たるようになった。
皮や肉もいっぱいあつまって、ウハウハである。
まぁ、肉は溜まって溜まってしょうがないんだけど。
でも、嬉しいこともある。
肉が腐らないのだ。
冷蔵もしてないのに、ずっと新鮮なままである。
多分原因は、
『一角ウサギ肉』
種別:ドロップ
効果:新鮮な一角ウサギの肉。調理して食べるとHPが「10」点回復し、空腹が満たされる。
この「新鮮な」の一文のせいだろう。
フレーバーテキストを、現実でそのまま再現するとこうなる。
後、ウサギ先生の名前は一角ウサギでよかったんだな。
そのままかよ。
人のことは言えないけどさ。
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