レベルを上げることが普通じゃない世界でレベリング中毒に陥った異常転生者

暁刀魚

1.レベル上げが普通でないことを知るレベリング中毒者

第1話

「ステータス、オープン」


 NAME:ツムラ

 LV:1

 EXP:0(NEXT:10)

 HP:15

 MP:10

 ATK:5

 DEF:5

 MAG:5

 MID:5

 AGI:5

 SKILL:『ステータス上昇均一化』『火魔法:初級』


「おお、本当に開いた」


 異世界の定番といえばステータスオープンだが、本当に開くとは思わなかった。

 そう、俺は転生者である。

 事故にあったと思ったら、気がつくと森の中にいた。

 見た感じ、容姿が前世のままなので転移じゃないかという気もするが、間に死亡を挟んでいるので転生でもいいだろう。


 正直、前世には未練が多い。

 仕事はどうでもいい。

 だがオタ活は困る。

 しかしそんな考えも、目の前のステータス画面を見てしまっては吹き飛んでしまった。


 俺はレベル上げが大好きだ。

 ゲームをする時は、必ず飽きるまでレベル上げをしてからボスに挑むタイプである。

 そんな俺のステータスが今、こうして目の前に開示されている。

 俺のレベルを上げられる。

 現実とかいうクソゲーに神アプデが入ったのだ!

 うむ、これはレベルを上げるしかない。


「スキルは……タップすれば説明が出るのか」


 空中に浮かんだステータス画面のウインドウ。

 スキルが書いてある部分をタップすると、説明が出る。


 『ステータス上昇均一化』

 種別:ユニーク

 効果:レベルアップ時、上昇するステータスをすべて5に固定する。


「ユニークスキルか……当たりなのか?」


 そうではないし、そうでもあるとも言える。

 どうみるかだ。


「この世界のレベルアップは、ステータスの上昇がランダムなんだよな。……吟味できないって、つらくね?」


 ランダムなのに吟味できないとか。

 クソゲー確定じゃん。

 その点俺は、常に固定だ。

 5という上昇幅が優秀なのかはまだ不明だが、レベルアップ時に上昇が渋くてストレスを感じなくてすむ。

 割り切りという意味では、助かるスキルかもしれない。

 後は、初期ステも切りの良い数字なので、レベルを見ればステータスが計算できる。

 助かる。


 そしてもう一つ。


 『火魔法:初級』

 種別:火魔法

 効果:己が内なる魔力を解き放ち、火属性の魔法を放つ。初級限定。


「いやもうちょっと説明してくれよ!」


 魔法の部分をタップしてみる。

 説明とかはなかった。

 チュートリアルが不親切だな!


「まぁ、検証するしかないか」


 検証もゲームの醍醐味。

 割り切ろう。


 ステータスを確認したら、次は周囲の状況確認だ。

 ここは森、なんというか鬱蒼とはしていない。

 平和な森だ。

 足元の草もたいして伸びてない。

 ここなら、一般人が何の知識もなくサバイバルをしても酷いことにはならないのではないか?

 後は食料と拠点だな。

 今日のうちに何かしら、それっぽいものは見つけないと。


「そして、魔物もいるだろうな、ふふふ」


 ステータスがある異世界なら、当然魔物もいるはずだ。

 倒そう、倒してレベル上げをするのだ。


「よし、行くぞ」


 かくして、俺の異世界生活は始まったのだ。

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