序:九郷義花(医学部のすがた)
「――という理解で合っていますか?」
「そう、そういうこと!」
助教の先生から合格が返ってきて、あたしは深く頭を下げる。
「おかげですっきり理解できました、お忙しいのに長いこと付き合わせてしまって本当にすみません……」
「良いよ、学生の疑問に付き合うのは教員の務めだから……けど一応、講義でちゃんと分かるように説明してるんだよなあ」
ちょっと眠気と戦っていた――とは言えないので。
「次回からはもっと念入りに予習しておきます……では失礼しますね」
改めて丁寧にお辞儀をして、あたしは研究室を出る。
「……つかれたんご、タンゴ、団子、ダンボ、」
ぶつぶつと呟きながら薄暗いキャンパスを徘徊するのは、この女~~~!!
元カレのママと付き合う女、
……なんか元ネタが合体している気がするけど、気にすまい。
今は
とはいえ、あたしなりに譲れない信念があって医師を目指しているのだ。ここで折れるわけにはいかない、泥臭くとも堅実に経験値を積んでいく所存だ。
(作者注:義花が医師を目指す理由はカレママ本編を読んでください)
しばらく見ていなかったスマホを確認。同居人である
「お、ミユカじゃん」
旧友からの頼りが気になりつつ、まずは咲子さんの車へと急ぐ。普段はバスで通学しているが、今日みたいに遅くなる日は迎えに来てもらっているのだ。とはいえ学年が上がり遅いのが日常になってくるので、来月からは車での通学になる。運転は苦手ではないがやはり緊張する、それにバスでの読書タイムが消えてしまう。まあ地方都市の宿命なのだが……
「お待たせ咲子さん、ただいま」
「おかえり~、疑問は解決した?」
「うん、ばっちり。今度は友達にレクしてみる」
このタイミングでは「解決した?」と聞かれるのが嬉しいのがあたしで、それを分かっているのが咲子さんである。
(作者注:義花と咲子が同居するまでの流れはカレママ本編を読んで)
さて、ミユカ――
「ミユカが月末に帰ってくるんだけど、そのときミユカの実家に泊まりに来ないかって誘い来たんだ」
「あら楽しそう、
仁、
(作者注:津嶋家の事情についてはカレママ本編を)
「そうそう、久しぶりに3人で語り明かそうぜ~って。ご両親もそれぞれ出かけてるみたいでね」
「へえ、あちらが歓迎なら良いんじゃない?」
「うん、行けるよ~って返事しちゃうね」
そんな軽い気持ちで参加を決めてしまったのが、あの狂気の夜への戻れぬ始まりだった。
(作者注:仁輔の元カノ義花と今カノ結華梨がこんなに仲良い理由は本編)
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