花(はな)晩春

千の音花びら揺らし月に消ゆ せんのおとはなびらゆらしつきにきゆ

つま弾きに色づく花と浅き夢 つまびきにいろづくはなとあさきゆめ



平安神宮神苑の社殿で演奏会が催されたのは春の初めの頃


宵闇にライトアップされた桜の花枝の間から

遠くに見える雅楽師の小さな姿を眺める


枝垂しだれた桜の花房はなぶさの空に

やがて黄蘗きはだ色の月が浮き出して

池泉ちせんを回遊する人々を

奥ゆかしく照らし始める


流れる音楽は雅楽…

ではなくて

いにしえの風情を揺さぶるような

エッジの効いたロックだった


したがって

古雅な庭園を徘徊する足取りも

軽くリズムを取りながら

耳慣れた一節を口ずさみながら

ということと相成ったのでした


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330656709707360

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