精神科入院41日目 #

「歯科部にいきますよ。」

午前中のプログラム中、田上さんからお誘いが。

単なる作業療法士とは思わず上司と見立て「報連相」。

許可を得て退出。一つ下の階だが、エレベータに。

元来の甘いもの好きが講じて、治ったと思ったら、結局入院中ずっと歯の治療をするんだけれど、四六時中二階フロアでこ軟禁生活の息抜き。シャバに近い空気が吸える。

歯科部迄の廊下にある絵画や室内にかかる洋画。そんな凄い物ではないけれど、目の保養で楽しませてくれる。

担当の歯科医の主治医が来る迄、斜めに深く倒された歯医者の椅子に体を預けながら

天井を見ながら暫し待つ。

歯科内で流れるFMラジオの周波数と音域は、高くもなく低くもなく、中音主体なので、心地よい音質でラジオから流れる音楽のリズムが体に染みる。

ラジオのDJが、ツーブロック禁止令の話をしている。 


良くできたブラックユーモアなネタだなと思って関心して聞いていた。

「本当、どうしろって言うんだろ」と、もう一人の女の歯科医の先生と看護師が話をしている。

「またまた、悪ふざけの冗談に乗っかって…。」と思っていたら、どうやら本当らしい。

話が続き

「子どもが学校にどんな髪型にしていけば良いの?」

年頃の子どもを持つお母さん世代。我が事と捉えてニュースについて真面目に話していた。

「マジなんだ」  

そして、

「社会と乖離し過ぎたな。」


ある時、気がついたら全てのニュースもワイドショーも見なくなった。ヤフーニュースも。

事件事故。浮気に不倫。後なんだろう?

考えたくもない。

そんなもの全て人の不幸。

それをご飯時に流して食事をするなんてどうかしている。

経済だろうが政治だろうが「現状は、こういう状態だけれど、それこそ明るい未来に向けての展望で締めくくる。その為にはどうするか?やマイナスな話であったとしても、プラスを最後に持って来る事で話その物の印象自体も全て変わる。

なのに、暗く混沌として終わらせるってなんだろう?」

生命の根幹を満たす一時に、身体に良い訳が無い。


完全に見なくなっていた。

特にスポーツ。

こんなもの勝者と敗者を作る、全ての争い事。諸悪の根源。

オリンピックもワールドカップも。

全く興味がない。

所詮、活躍してメダルを取っても、次の大会やその次の大会には彼らは必ず忘れ去られる。

あなたはどっちの花火師を選ぶ?

頭を使う夏の花火の一発を選ぶか?

体を使う夏の花火の一発を選ぶか?


大人になったのだから、「頭を使う花火師」をボクは迷わず選ぶ。

なぜなら、何発も当てられるから。

頭を使わずに体だけを使うアスリートだから、大半は戦力外の「解雇」との戦い。

運良く引退迄たどり着けても、指導者や解説者に残れるのは氷山の中の更に氷山の一角。


歯科の男の先生は老齢だけれど、言葉と人なり。含蓄や深みがある。

前回の「口の中に食べ物を入れて「命は一度叩く」⇐※カンムリを調べる。意味を。

凄い面白かった。肉だろうが野菜だろうが魚やお米だろうが命を一度口の中で叩く。噛む。また「米」が出てくる。命を頂くのだから。面白い。


その「口」を開けて言われた事。

「治療途中でここに来たけれど、それ迄治療したこの先生。私は他の歯科医をあまり褒めないが、この先生上手いよ。」

理由を言っていたが、全く覚えていない。

なぜなら、そんなの「どうでも良いから」。

技術なんて、この世で1番どうでも良いものだから。

どうでもいい。

本当にどうでもいい。

大事なのは治療技術でも無い。

「心を大事に扱えるか?」

これに尽きる。

体と身体は違う。

体はBody。

身体は身も心も含めて身体。

気持ちとか心とか想いとか。

全部人が大事な物。

単なる入れ物ではない!

話にならない市郊外の歯科医。

治療なんてどうでも良い。

この歯科医も。

頭の悪い君になんか用はない。

「大事な何か」があったからコロナが蔓延し始めた春先に真先に行った。

怪我をさせられた。


「少しの間、口を大きく開けて」

「5分か10分位かな?」

40分続いた。

終わろうともしなかった。

嘘をつかれた。

平気な顔でその作業は続いた。

「万力持ってきて」

口が閉まらない様にご丁寧に「固定」された。

やっとで終わったと思ったら、ボソボソ小声で「ワセリン持ってきて」

近くの衛生士に指示。

口が切れた。

数日治らなかった。

ボクシングでセコンドがボクサーの試合中、開いたに傷口に塗るのがそれ。

まさか、歯科医でケガをさせられるとは。

しかも、同級生の弟に。

心が扱えない医者が世の中の殆ど。

だから、「評価サイト」が存在をする。

当然である。

我々、土木現場のドリル工事のコンクリートやアスファルトではない。

生身の人間だ。

 

社内的に影響力のある人間は人一倍襟を正さなければいけない。

襟を正さないとー。

それは、社会的に影響力のない人も当然である。

人間みな同じ「人」なのだから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る