孤独

凛道桜嵐

第1話孤独

彼氏と別れた。

別れたのか分からないが連絡が突然取れなくなった。

相手は本気で私と付き合って居たのかも今では怪しい。

彼と出会ったのは婚活アプリだった。

アプリ一つで色んな人に出会えるこの世の中はとても凄いと思う。

そして同時にアプリ一つで連絡が途絶え急に目の前からその人が架空の人間になってしまうのも恐ろしい物だ。

今私の年齢は29歳。

この歳で別れ独り身になるのは少し怖い。いや少し所じゃ無い。とても怖い。

周りは結婚し家庭を持っている中私は未だに独り身なのだ。

年下の子の方が先に結婚したり彼氏が出来て楽しそうにしているのを見ると私は一生独身なのではと焦りが出てくる。

そんな焦りから私はまた大量の風邪薬を購入した。

一時でも忘れたかったのだ。

レスタミン、ブロン、何かの風邪薬。

私は前にも風邪薬を購入して大量飲みをして自殺未遂をしている。

今は不安障害という病気と闘い薬を絶つ治療をしているが、それでも買ってしまい服用している。

服用の量も限られた量ではない、一つにつき15錠。それを三つ合わせて45錠を私は毎日飲む。

多い量をなんで飲むのかと聞かれたら楽になりたいからという答えしか言えない。

ただ飲んだという事で安心感を得たいのだ。

飲んで楽になるのかと聞かれたらそれは違う。

身体がだる重くなり動けにくくなり、鉛のような腕を動かすだけでも入らない力を込めて動かさないといけないくらい怠くて重い。

気持ちも飲む前よりズーンと沈む。

鬱病が酷くなるのだ。死にたいと思わせる、その何か作用があるのではないかと聞きたくなるくらい心臓にぽっかり穴が空いたような状態になる。

そうなるとご飯は勿論飲み物も飲む気持ちにもなれない。

でも私はこうなる事を分かっていても薬を飲むことを辞めることが出来ない。

理由は孤独だからだ。

彼氏と別れてまた一人。

彼氏は私にとって病気の良き理解者だった。

私の性格を、素を出しても暖かく見守ってくれるような優しい人だった。

それなのに急に私の目の前から消えた。

蝋燭の火が消えるのと同じようにフッと消えた。

私は涙が出なかった。

涙が出ることも難しい程虚無感になってしまったのだ。

今は別れたのは何か意味があったのだと頭では理解出来ている。

ただ、この先もずっと一人なのかと思うと怖くて堪らない。

誰でも良いわけでは無い。

本当なら選ぶ権利なんて無いのかもしれない。

それでも私は選んでしまう。

この人で良いのか。

この人のここが私には合わないと考えてしまう。

本当なら好いて貰っているのだから立場上文句など言っていられないのに。


これが最近の私である。


ただ主治医が彼氏と別れたことを伝えると手を叩く程喜んでいた。

最初は不幸を喜ばれて何だ?と思ったが主治医曰く

「貴方は嫌われたくなくて無理をする。そして相手の言葉に一喜一憂してしまう性格だからそうなんでは治る病気も治らない。別れて正解だ!」

と言うのだ。

私は元彼の時はそんな嫌われたくなくて遠慮してどうこうという事はしていなかった。

むしろ素で私は接して居たからそんな気を遣うという事は無かった。

だから付き合って居た時はとても幸せだった。

気持ちも安定していた。

なのに先生は別れて良かったと言う。

新しい彼氏も作るなと言う。

この年齢で彼氏も作るな独りで居ろとはとても苦しいとても辛い内容である。

ただ一時の時間でさえも私には一生のように感じるのだ。

不安障害。

不安。

今こうして何かを書いていても不安でしか無い。

頭の中では誰か良い人が現れて私の気持ちを理解してくれる人が現れるのでは無いかと考えては現れない現実に孤独を感じるのだ。

いつそんな人が現れるのかその人が現れるまで私のこの不安はずっと私の頭の中を回り続ける。

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孤独 凛道桜嵐 @rindouourann

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