はりねずみとごしゅじんさま
高橋
第1話 ハリボ
ぼくはハリネズミ。
ごはんをくれたり、掃除をしてくれるご主人様と一緒に暮らしている。
家の中にある寝床はいつもフカフカで暗くてとっても気持ちいい。
僕にはお父さんとお母さんってハリネズミがいたらしい。
昔一緒に住んでいたハリネズミが教えてくれた。
お父さんとお母さんがなんなのかはわからないけど、とっても大切なハリネズミのことらしい。
一緒に住んでいたハリネズミはある日違うご主人様に連れていかれた。
ぼくは少し寂しかったけど、美味しいごはんとフカフカの寝床があるから大丈夫。
ある日、大きな新しいご主人様が僕の寝床を覗き込んだ。
いつものご主人様と新しいご主人様はなにかお話をしている。
僕にはご主人様がなにを話しているのかわからない。
話がおわると、いつものご主人様はぼくの寝床を片付けだした。
あっという間に僕の寝床はなくなってしまった。
ぼくは悲しくなって丸まった。
いつものご主人様は僕を持ち上げた。
僕を持ち上げる時はいつも手に大きな冷たい手をつけている。
ぼくは新しい少し狭い家にいれられた。
家の中は真っ暗だった。
大きな家にはあたらしい寝床があった。
寝床は暗くてフカフカだった。
ぼくは寝床で丸まった。
急に家が動き出した。
真っ暗な家の中が少しだけ明るくなった。
大きなブーンという音が聞こえる。
ガタンガタンと家が揺れる。
ぼくは怖くなって寝床でずっと丸まっていた。
ねむれなかった。
ずっと続くと嫌だなと思った。
するとブーンという音が止まった。
揺れるのも少しおさまった。
ガチャンガチャンと聞こえてきた。
家が揺れなくなった。
ガタガタと外でたくさんの音がした。
ぼくは怖くて寝床で丸まった。
急に寝床が明るくなった。
ぼくの寝床をご主人様が覗き込んだ。
いつものご主人様じゃなかった。
あたらしい大きなご主人様だ。
ご主人様はぼくを持ち上げた。
あたらしいご主人様の手はあたたかかった。
あたたかい手から離れるとフカフカした場所に立っていた。
まぶしい場所だった。
暗い場所があったので入ってみた。すごくフカフカの場所だった。
いつもの寝床よりフカフカしていないけど気持ちよかった。
ぼくはここを寝床にした。
いつもの寝床に帰りたくなった。
寂しくなった。
あたらしいご主人様がごはんをくれた。いつも食べているごはんだった。
おいしかった。でも、いつものご主人様がいないことが寂しかった。
だから、ごはんを食べてすぐに寝床で丸まった。
すると、いきなり家が真っ暗になった。
ちょっとだけ安心したぼくは寝床で丸まって眠ることにした。
すごくつかれていた。
あたらしいご主人様がだれかと話をしている。
なにをしゃべってるのかはわからないけど、なんども同じことばを言っていたので、意味は分からないけど、ぼくはそのことばを覚えた。
「はりぼ」
どういう意味かはわからない。
起きたらいつものご主人様が掃除をしてごはんをくれるのかな。
はりねずみとごしゅじんさま 高橋 @takahashisensei
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