魔界の訓練巡り:火山の頂での訓練 Ⅴ

 ゾルガンは俺に向かって言った。


「感情を炎に変えるのには成功したみたいだな。だが、戦闘時においては、時間をかけて感情を炎に変える時間がない。つまり瞬時に感情を炎に変える能力が不可欠だ。次はその訓練を行う。瞬時に感情を炎に変えるため、感情を呼び起こす速さと正確さが必要だ。感情が高ぶった瞬間に、その感情を即座に炎に変える方法を見つけなければならない。これを俺はトリガーポイントと呼んでいる」


  俺はゾルガンの言葉を聞き疑問を持った。


「トリガーポイント......それを見つけるのか、でもどうやって?」



 ゾルガンは俺の疑問に応えてくれた。


「そのトリガーポイントを見つけるためには感情を呼び起こす練習を続ける必要がある。感情は心の奥底に眠っているものかもしれないが、感情をすぐに取り出す方法を見つけるんだ。それには自己観察が欠かせない。自分自身を知り、感情が高ぶった瞬間を見逃すことなく捉えることが重要だ。そして、その感情が高まった瞬間、瞬時に炎に変える練習を続け感情と炎の結びつきを確固たるものにする。感情の変化を感じ、それを瞬時に炎に変えることができれば、焔帝闘技を習得することができるだろう」


 俺はゾルガンの言葉を聞きまずは感情をすぐに取り出す方法を探すことにした。まずは瞑想を始めた。そこで俺は自然にはエネルギーが豊富に広がっていることに気付いたのを思い出した。洞窟の岩壁から微かに漏れる光、流れる水の音、そしてそこに住む生物たちの存在が、親に力を与えるように感じていたことを。


 俺は深呼吸をし、自然のエネルギーを感じながら、感情を即座に引き起こす試みを始めた。すると俺の心は急速に高まり、情熱と興奮が膨れ上がった。


「これだ......」


  俺はすぐに感情を取り出す方法を見つけることに成功した。


「次はこの感情をすぐ炎に変えるのか......」


  瞬時に炎に変えれない限り焔帝闘技を習得することができない。俺は理解していた。


「感情と炎の結びつきを強く......か」


  俺の言葉を聞きゾルガンが言う。


「そうだ、炎のイメージを具体的に描き感情と結びつけるのだ」


 俺は心の中で炎のイメージを具体的に描き、感情が高まった瞬間、その感情を炎の形に変える練習を始めた。感情と炎は絶えず交流し、その結びつきは次第に強化されていくのを俺は感じていた。その時俺はあることを思いついた。


「待てよ、つまり感情のエネルギーを強めると炎への結びつきが強くなり瞬時に変換できるのではないか......?」


 俺は試さずにはいられなかった。感情をより強調することで、感情のエネルギーを意図的に増幅させると俺の目論見通り炎との結びつきが強くなった。


「よし......いい感じだこのまま続けるぞ」


 俺は感情と炎との繋がりをさらに強めた。すると感情から炎への変換が容易になってきていた。感情が高まると、その強力なエネルギーは炎と一つになり、俺の内なる力をさらに引き出す手助けとなっていたのだ。


「よし、これで炎に瞬時に変換できるはずだ、やってみるか」


 すると瞬時に俺の拳に漆黒の炎が渦巻き始めた、成功だ。俺は瞬時に炎へと感情を変えることに成功した。その様子を見ていたゾルガンは驚きながら呟いた。


「まさかこんなにも早く......予想外だ......彼ならなら、もしかしたら......」


 続けてゾルガンが言った。


「よくやったハルト、まさかこんなにも早くできるとは思っていなかったがこれで焔帝闘技を教えることができる、早速始めるか?」


「もちろん、早速始めよう」


 俺は自分の成長に胸を躍らせていた。


「ここまでよく辿り着いた。これより焔帝闘技の訓練を始める!」


 ゾルガンは力強く宣言し、その言葉と共に大地が揺れ始めた。エネルギーの波紋が広がり、自然と一体となる瞬間が訪れた。 俺は決意を固め、焔帝闘技の新たな試練に向かう用意を整えた。


「よろしくお願いします!ゾルガン!」

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