魔界の訓練巡り:火山の頂での訓練 Ⅳ

 俺はゾルガンに連れられ再び火山の頂にやってきた。


「ハルト、次の訓練は火炎の格闘技、焰帝闘技えんていとうぎを学ぶための準備だ。お前の力と炎を一つにする技術を学ぶ。炎を自在に操り、相手にダメージを与えることができるようになる」


 ゾルガンは真剣な表情で語った。そして、彼は自身の拳に炎を纏い、そのまま前に進んでいった。俺はゾルガンの拳から炎が燃え立つのを見て、その力強さに圧倒された。


「焰帝闘技を学ぶための......よし、やってやる!どうやって炎を制御すればいいんだ?」


 俺はゾルガンに尋ねた。ゾルガンは微笑みながら答えた。


「まず、炎を感じ、そのエネルギーを自分の中に取り込むことから始めるんだ。炎は情熱や力を象徴するものだ。感じるんだ、ハルト。そして、その情熱を炎となって具現化し、拳に宿らせるのさ」


 俺はゾルガンのアドバイスに従い、炎を感じるために集中した。最初は少ししか炎を感じることができなかった。俺は何度も試みたが、炎のエネルギーを自分の中に取り込むことは難しいものだった。ゾルガンの拳から燃える炎は力強く、圧倒的であり、その力に対抗するのは容易ではなかった。


「炎を感じる......どうやって?」


 俺は自問した。ゾルガンは耐えるように微笑んだ。「焰帝闘技えんていとうぎは内なる情熱と力を引き出すものだ。炎を感じるには、自分の内なる情熱を解き放つ必要がある。感じろ、ハルト。炎の情熱を呼び覚ませ」


 俺は再び試みた。俺は自分の内なる情熱を思い出し、その情熱が炎となって燃え上がる様子を想像した。そして、その情熱が拳に宿るように努力した。少しずつ、炎が俺の拳に宿る感覚が高まってきた。俺は自分の手のひらから小さな炎の輪を生み出すことができた。しかし俺の手のひらから生まれた小さな炎は、一瞬で消えてしまった。

 ゾルガンは微笑みながらアドバイスを授けてくれた。


「焰帝闘技は、感情と繋がっている。怒り、情熱、愛、悲しみ、恐れすべての感情が力となる。感情を炎に変えることを試みてみろ」


 俺はゾルガンの言葉を受け入れ、自分の感情に意識を向けた。怒りや情熱、愛情、悲哀、恐怖など、さまざまな感情が心の中で渦巻く。俺はその感情を炎に変えるために努力し、再び手のひらから炎を生み出そうとした。感情に意識を向け、感情を燃え盛る炎に変えようとする。俺は心の中で感情と向き合った。


「怒りを炎に変える......」


 俺は自身の怒りに焦点を当て、感情を炎に変えようした。最初は小さな炎が彼の手のひらに生まれ、かすかに輝いていた。しかし、俺は怒りに意識を向け続け、その炎は次第に大きくなり、紅色のように赤く燃えるようになった。怒りの力が炎を支配し、俺の手の中で明るく燃え上がっていた。


「次に情熱......」


 次に、俺は情熱的な感情に集中した。炎はその感情に応じてさらに大きく膨らみ、黄色に変わった。俺は情熱を感じ、その力が炎を活気づけ、明るさを増していった。


「そして愛情......」


 俺は愛情に意識を向け、炎が感情の温かさを反映するように変わった。炎は純白に輝き、やわらかな感情を表現した。愛情の力が炎を包み込み、その輝きを一段と増した。


「さらに......悲しみ......」


 次に、俺は悲しみに焦点を当てた。炎の色は紺碧こんぺきへに変わり、感情の重さを示していた。しかし、それは悲しみを克服し、力強く成長する過程を象徴していた。


「最後に恐れ......」


 最後に、ハルトは恐れに向き合った。炎は紺碧から漆黒へと変わった。だ勇気を見出す瞬間を示しました。恐れの炎は、俺の手のひらから跳ね上がり、自信を持つ力を表現した。


「漆黒の炎か......さすがあの方の息子だな......」


 ゾルガンはつぶやいた。その言葉には敬意と誇りが込められていた。


 ゾルガンは続けて言った。


「それが君がどれほど強くなるかを決めるものだ。今、漆黒の炎は新たな勇気を示している。ハルトはそれを使いこなし、未来に向かって進むべきだ」


 ゾルガンは俺に向けて励ましの言葉を贈ってくれた。


「ありがとう、ゾルガン」


 俺は言葉にゾルガンへの感謝の意を込め、この力と共に前進する決意を固めた。感情と炎を結びつけ、力強い焰帝闘技えんていとうぎを習得する訓練が始まる。

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