第5話パワーバランス

うちの家庭でのカーストは嫁さん→子供→僕である。

子供は嫁さんを恐れているが、僕は滅多に叱らないので、友達感覚で僕と接している。だが、良い距離感を保つ。

叱る時には説諭でただし、日頃は仲良く接している。

しかし、同居していないので目がまんべんなく届かない。

ゲームばっかり。

再来年、高校受験だが非常に危惧している。だが、友達で不登校になったヤツがいると聴いて、点数は悪くても学校に通う当たり前の事に安心している。

息子は受験、受験とうるさい!と、言が、泣くのはお前だぞ!と、言うとしゅんとする。

微妙なパワーバランスの下、我々家族はまとまっている。

思い出せば、僕も中学生の時は塾に通っている安心感から、勉強はしていなかった。

勉強に本腰を入れたのは高校1年生の3学期からだ。

それから、夜中まで勉強していた。


部屋には水槽があり、琉金、熱帯魚を育てていた。

大学は合格したが、就職超氷河期で大卒でも仕事が無い状態だったし、お金も無いので大学を中退して働いた。

馬鹿では無かったので、入社試験で合格して貿易会社で働いた。

月130時間を超える残業を7年続けて病気になった。

そして、今、家庭ではカースト最下位。

ここ10年、夫婦喧嘩をした事がない。

だが、最近嫁さんは僕に優しい。

それが、2年くらい続いている。嫁さんと仲良くしていたら、息子が色気付き、恋愛相談を僕に持ち掛けてくる。

嫁さんには言えない事を僕に話す。

これも、大事なことだ。ちゃんと、話しを聴いてやる。

男同士じゃ無いと話せない事もある。息子が「パパ、僕はチェリーボーイだから」

と、話すと、

「心配するな。パパもチェリーボーイだ」

「パパ、じゃ、オレはどうやって産まれたんだよ!パパ、テキトーだな」

と、笑い話になる。

息子もいつかは、成人して結婚するだろう。

そして、パパになる。

僕とは違い、立派なパパになってもらいたい。

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