ひとつとふたつ

君と住み始めた。

歯ブラシは僕と君のふたつ。

でも、ベッドはひとつのまま。

いただきますも、ごちそうさまも、おはようもおやすみも君とひとつ。


それが嬉しかった。

君とひとつ屋根の下で。

ふたりでひとつの生活が、嬉しかった。


気持ちも、将来もひとつになるんだろう。

きっと君と、ひとつの人生を歩むのだろう。



ふたりで長い時間を過ごした。

ふたつのものが増えていた。

ベッドはふたつ、別々になっていた。

おはようもおやすみも別々だった。

それでも気持ちはひとつだと信じていたかった。



そして僕達は、別々になった。

ひとつになると思っていた将来は、ふたつ別々になった。


ひとつだと信じていた気持ちはずっと別々だった。

「愛してる」のただ一つだと思っていた。




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