第45歩 姿見

 雑誌編集部勤務のH女史に聞いた話。


Hさんは14歳の時、ある家に引っ越した。


家には小さめの庭があった。


しばらくして春先あたりから天井で物音がしたり寝ていると金縛りにうようになった。


 季節が夏になると物音もしなくなり金縛りにも遭わなくなった。


しばらくして季節が又、春になると

すっかり忘れていた天井の物音がして寝ていると金縛りにあう。


「それで、どうしました」


「夏になると何も起きないんです」


気のせいかと、これといった対処はしなかった。


「家に何かあったんですかねー」と聞くと

「そういえば・・・・」

Hさんは、ある事を思い出した。


 引っ越して来てから家の庭にあった栗の木を切り倒したという。


その後、何かの折に家の中で写真を撮った時

自分の背後にあった姿見の中にが写りこんでいたという。


 その後Hさんは家を出たので怪異には遭わなくなったらしいが

家族に異変はなかったのか、その見知らぬ女の人の写った写真はどうしたのか、なぜ栗の木を切ってしまったのかなど


Hさんの記憶に残っておらず、この件の取材は、

そのままになってしまっている。

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