第11歩 壁の映画館
長距離トラック運転手をしているMさんに聞いた話。
Mさんが小学二年生の頃、二段ベッドで寝ており下段には兄が寝ていた。
二段ベッドは部屋の壁にピッタリと付けられ置かれていた。
部屋の壁紙は触ると、ざらざらするラメ入りの壁紙が貼られおり、ありえない事かもしれないが、
その頃Mさんは毎晩のように壁に映し出される映像を見て楽しみながら眠りについていた。
車、キツネ、昆虫がたくさん壁に映し出され七色に光る映像は、とても綺麗だった。
但し人の顔が浮かんできて
『ヌー』っと壁から出てきた時は怖くて、いつも目をつむっていた。
毎日「今日は何かなー」と楽しみにして、それは、どこの家でも寝る時には壁に映像が現れるのだと思い込んでいて
当り前のことだと思っていた。
ある日、Mさんは高熱を出し一週間、学校を休んだ。
昼間、二階から外を見ると窓の外に白い着物を着た女の人が立っている。
「だれかな・・・しらないひとだ」
確かめようと部屋を出て階段の踊り場に行くと
突然、後ろから誰かに突き飛ばされて階段を転げ落ちた。
「あっ!」
―ゴロゴロゴロ・・ドスン・・・
「痛ぇーっ」
幸い大きな怪我もなく軽傷で済んだが女の人を確かめる事はできなかった。
一連の出来事が結局、何だったのか解らない。
しかし、その後、壁の映画館が上映されることは無くなり高校生になるまで、これといった怪異は無くなった。
確かなのはMさんの兄も当時、壁の映写は見て知っていると証言している。
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