第114話 思考の妨害

報告・今作品のタグより『ざまぁ』を削除

『主人公最強』を『いずれ最強主人公』に変更いたしました。


詳しい変更理由は近況ノートにまとめてあるので目を通して頂けると幸いです




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「お待たせしました!」

「ミナか。」


クソ共との変な会話に疲れていた私だが、普段と何ら変わりないミナの様子を見て本当の意味で冷静になれた気がする。


「……?何かあったのですか?」

「実は少し面倒な事があったんだが、私自身かなり馬鹿な行動をしたと思ってな。

もっと適当に対応してしまえば良かった。」


今思えばあの人々が集まっていた場で主人公の言葉を否定しなくてはいけなかった。

それに主人公との決闘なんて無駄なことだし、私が指定した条件もメリットが薄すぎる。


評判の操作も最近頻繁に行っているおかげで、学院内でも平民は無理でもちゃんとした貴族なら悪い噂程度聞き流すだろう。

それに平民なら評判なんていくらでも操作できる、嫌な話だが人はわかりやすい利益をあげれば印象など操りやすく、私の場合は無償で魔法薬による治療を行えば上がる。


「カリル様、大丈夫ですか?」

「少し疲れてしまったが、まぁ大丈夫だ。

それと学長、少し話す時間を作って頂けませんか?」

「構いませんよ、では今から私の部屋に行くとしましょうか。」


移動中、何度も会話を振り返るがやはり私のミスが多く感じる。

話している時はこれ以上は無いと考えての会話だった筈なのに、簡単なミスも多く犯している。


初めての主人公との邂逅で動揺していたのだろうか?


今の所、私の不調の原因は一番しっくりくる、つまりは私の心の弱さかもしれない。


だが周囲の反応だけは理解できない。

平民が多かったが、貴族もそれなりに混じっていた周囲の人が主人公の終わってる言葉に理解を示す、そんな馬鹿しか居なかった。


もし国王並みのカリスマ性があれば、あの破綻している演説でも心を掴むだろうが、あの主人公にそこまでのカリスマは感じられなかった。

もしかしたらゴミの子孫というフィルターが邪魔をして感じ取れなかった、という可能性僅かにあるが学長も違和感を感じていたし本当に僅かな可能性だ。


っといつまでも反省をしていても意味が無い、決闘に備える事を優先しよう。

学長と話すのは──




「さて、ディカマン君は思考に集中しているみたいなので雑談でもしますか。

この学院はどうでしたか?」

「えっと、少し埃っぽかったですよ。」

「……入学式でしたので掃除はしっかり行っていたはずなのですが、掃除の人員を増やす事にしましょう。」

「あっ……で、でもカリル様と学長さんのいた所だけでしたので安心してください。」

「人が多かったから、ですかね……」




ーーーーー


「教会の奴等に動きは?」

「聖女の入学で少しバタついた程度の動きです、それと王都で揉め事を起こした聖騎士について謝罪文が届きました。」

「捨てておけ。」


こんな事は初めてだ。

まさかこの私が自らの国で、最重要で脚元と言っていい王都を能力で把握できなくなるとは。


「国王陛下、ヴァレーゼン宰相閣下が入室の許可を求めております。」

「許可する、それとヴァレーゼン以外は部屋を出ろ、内密の話をする。」

「「「かしこまりました。」」」


ミゲアルが来たということは毎日の定期報告だ。


王都を把握できなった私は、久しぶりに諜報部隊からの情報に目を通している。

だが最重要案件、大罪に関わる事についてはミゲアルが直接調査している。


後継者のために訓練をさせていたが作っておいて良かった、無かったら情報収集をしなくてはいけないイラつきで、頭がどうにかなってしまう所だった。


「原因見つけたか〜?」

「無理ですね、欠片も掴めてないです。」

「だろうな。」


大罪の存在を知っている者はこの王都、いや王国には数えるほどしか居ない。

私を含むそのうちの3人は協力関係、可能ならば王国に散らばり調査をしたいが3人とも立場上動けないのに加え、能力を弱体化させた方法を知らない我々が散らばれば各個撃破される可能性もそれなり高い。


「そういえば、カリルは今どうしている?」

「あぁそうだった、伝えないといけなければならない事がありました。」


伝えねばいけない事?


「カリルが先程ゴミの子孫に絡まれたそうで、決闘をするようですよ。」

「めっちゃ面白そうじゃないか!」


なにそれめっちゃ見たい。

いい気分転換になりそうな決闘だ、まぁ逆にカリルはストレスが溜まってしまう気がするが。


「それだけなら笑い話なのですか、1つ気になる事がありまして……」

「なんだ?」

「実は学院が集団洗脳を疑うほど馬鹿しか居なく、イカれてる言い分を信じてる者が多く居ました。」

「マジか。」


あの学院壊そうかな。

学院跡地に王国民のみが所属できる最高峰の施設が整った研究室作れば、優秀な研究者は文句言わないだろ。


「というか、カリルが言い負けたのか?」


若いが、贔屓目無しに見てもかなり優秀な方のカリルが馬鹿に負ける?

弱体化の件が片付いたら家庭教師でもやってやるか。


「言い負けとまではいきませんがどちらかと言えば負けに近いかと、ただ調査を任せてた者の報告によれば、異様な雰囲気を感じたと。」

「ん?ガチめな洗脳か?」

「報告書から読み取った限りでは特定は難しいかと、実際に見ればわかるとは思うのですが。」


すっかり渡し忘れた連絡用の魔道具をカリルに渡すついでに、ミゲアルに決闘を見に行ってもらうべきだろうな。


「ミゲアル。」

「了解いたしました、念のため王城の警備を厚くしておいてくださいね。」

「はいよ。」

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