第32話教師side
頭で覚える事が出来ないのなら、体で覚えさすまでの事――――そういうと、どんな恐ろしい体罰が実施されるのかと思われるでしょうが、実際、体罰を行う教師などいません。そもそも体罰を持って指導にあたる教師は所詮は二流。一流の教師は体罰を行わずに成果をだすものです。
もっとも、何事も例外というのは付き物ですが。
相手を出来の悪い生徒と思ってはいけません。
ソニア様は幼女なのです。
心が幼いまま体だけが成長した方です。
そんな方に通常の教育など意味を成しません。ですので、手を変え品を変えソニア様を成長させてあげないといけません。小さな子供でも勉強に興味を持ってもらうように。ソニア様は着飾る事と恋愛小説がお好きだと伺っていましたのでソコから攻めてみましょうか。
歴史ものの恋愛小説は思った以上にあります。
それに着飾る、オシャレが好きということでその手の特産品を扱っているのは隣国ですから、他国を知るうえでも一石二鳥。
何度も繰り返し聞けば、自然と頭は覚える事も出来るようになりますし、諸国の歴史の方が劇になっています。歴史の事を書いている参考書としてもピッタリではないでしょうか。
時間だけはたっぷりあります。ゆっくりじっくりと教え込んでいきましょう。決して無理をさせないように押し付けるのではなく、興味を持たせて、ただひたすら体に刷り込んでいきます。
比べてはなりません。
ええ、一流の教師達はソニア様と公爵令嬢を比べる事は決してありません。
勿論、
そんなこんなで始められた妃教育に終わりが見えないのも当然でした。
ソニア様は『側妃』として王太子殿下と結婚されました。
決して公の場には出ないという条件での婚姻。
はい。ソニア様は『妃』の器ではございません。公務を行う事、それ自体を禁じられている存在でした。
それもまた異例の事でした。
なにしろ、平民の身分のまま『側妃』になられたのですから。
ソニア様を養女にと望む貴族が皆無だったとはいえ、随分と思い切った事をしたものです。
貴族達は顔には出さなかったものの、この結果にどう対応していいのか分からない様子でした。ですので、ソニア様が公に場に出てこない事に心底ホッとした事でしょう。平民出身の王太子の側妃をどう扱っていいのか分からないのですから。
全て国王陛下の采配で決められたため、王妃殿下や王太子殿下がどうにかできる問題でなかった事も貴族に安心感をもたらした要因でしょう。
王妃殿下や王太子殿下は後から発言を覆すかもしれない、もしくは、なかったことにするかもしれない、という不安が何故かあったのです。そういった前例がないにも拘わらず。どことなく信用できない部分があったのでしょう。
それから月日は流れ、八年が経過いたしました。
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