第26話影響4
「隣国の伯爵家なんてどうかしら?」
「アリエノール様、子沢山の八男坊です。しかも伯爵家の台所事情は火の車。そのような家の息子と婚姻を結ばなくとも……」
「良いと思ったのだけれど、ダメかしら?」
「アリエノール様は良くても、
「そうかしら?」
「はい。因みにどこら辺が宜しかったのですか?」
「子沢山で貧乏なところよ」
「……」
「沈黙しないで。これでも真面目に考えた結果なの。この伯爵家は困窮しているだけで各自の能力はかなり高いわ。家柄も伯爵家だけど、国で最も長い歴史を持っているし、血筋も申し分ないのよ。ただ、
「過激な思考力でございますね」
「え?これ過激?だって政略結婚なんだから成果が大切なのは当然でしょう?」
「……とにかく伯爵家はなりません。とてもアリエノール様のご要望に応えられるとは思えませんわ。もう少し幅広く候補者を探してみましょう」
「そうかしら?でもそうね、お父様やお母様の意見も聞かなくてわね」
「そうしていただけると非常に助かります」
それからも候補者探しは続き、候補者選びは難航を極めました。
国外の貴族。婿入り希望はかなりの数に上ったにも拘わらず、何故か縁談を持ちかける家は少なく、これに関しては私は首を傾げるしかありませんでした。
ただ、王妃殿下が私の婚姻を何かと妨害している痕跡がありましたので、貴族達の噂話も馬鹿にできないものかも知れません。
「いっそのこと遠方の国から婿を貰おうかしら?」
国交を結んでいない国ならば王妃殿下の横やりはないでしょうし、それに私の婚姻を切っ掛けに国交樹立がなれば御の字ですわ。
そんな提案をお父様にした翌日、とある人物が屋敷を訪れたのです。
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