episode.24:鉛筆

 肩からタオルをかけ、己を磨く彼は鉛筆。

 細く、ときに、太く。彼の形は自在に変わる。

 その命と引き換えに。


「お疲れ様」


 僕が声をかけると、彼は小さく会釈した。


「少し、生み出したいものがあるんだ」


 真っ白な土地に僕たちは降り立つ。

 僕は彼の手を引いて、くるくると回ったり、ぎざぎざと折り曲がったり。


 しばらくして、僕と彼は、近くの丘に登った。

 頂上から見えた景色。

 白と黒が織りなす、巨大な城壁都市。


 短くなってしまった彼に申し訳なさを覚える。

 だが、彼は僕に両手を差し出す。

 ぱちん、と小気味よい音を立ててハイタッチ。

 

 僕たちは笑った。

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