いつかの君へ

@rukarukakyasu

君との出会い


 ざわざわと教室が騒がしい…。

南和也はさっきから窓の外を見ていた。


「転校生が来るんだって」

「男の子らしいよ、結構イケメンって聞いた」


女子達がそんな噂をする声を聞き流しながら

担任の先生と廊下を歩いてくる人影を見つけた。

結構…背は普通…顔は見えないな…

そして教室の扉が音を立てて開き

皆が転校生を見ようと注目する…

黒くて少し硬そうなストレートの短い髪

小さな顔に大きな漆黒の瞳、童顔でも女顔でもないが

人形のように整った、まぁ、イケメンといえる面立ち

みんなが注目する中、結構平然と彼は先生の隣に立っていた

教室は彼の評価や噂でざわつきは一層高まった


「静かにしろ…転校生を紹介する、彼は高村学園からの転校生だ。だが元々この学校に来る校区だから知ってる奴もいると思う…まぁわからないことがあったら、教えてやれ」


「御崎…自己紹介しろ」

先生が黒板に「御崎悠(みさきゆう)」と大きく書いた

「御崎悠です。よろしくお願いします」

淡々とそれだけ言うとニコリともせずにつっ立っている。

「お前の席はそうだな…小林の隣な、小林はクラス委員だからなんでも聞け」

小林なつみはクラス委員で結構美人だ、彼氏がいるけど


御崎は先生の指示に従って彼女の隣に座った、つまり俺の前の席。


朝の学活が終わり先生が出ていけば、女子が転校生に群がる…



「彼女居るの?」

「好きなタイプは?」

「高村からなんで転校してきたの?」


不躾な質問が飛び交う…

俺転校生じゃなくてよかったなんて勝手に想像しては胸を撫で下ろす。


「彼女はいない」

「好きなタイプは格好良い子」

「髪型が嫌になったから坊主だからね、あそこは…」

無表情の割にそんなに冷たいやつじゃなく

意外にに親切に答えを返すやつだな…


御崎の俺の第一印象はそんな感じだった


友達…ってなんだろう

後ろの席から御崎悠を観察する…

高村に行ってたぐらいだから

頭はいい


高村学園は中学から大学まであって結構有名な私立の仏教系の学校

共学で中学高校は県内でもトップクラスだ

大学は有名じゃないけど

高校から一流大学に合格する人が多い

そんな、中学から

髪型が理由で転校なんて嘘に決まっているが

あいつが言うと本当に聞こえるから凄い


昼休みになって隣の1組から坂井直人が教室に入ってきた

そしてまっすぐ御崎悠のところに行く

御崎は珍しく笑顔…?


「来たんだな…悠」

「まぁね」

「どうだ?」

「こんなもんかな?ちょっとうるさいけど」


親しげに話す二人

ああ、そうか小学校一緒とかだな

自分の中でそう納得すれば

二人の会話に耳を澄まし


「でも隣りだし、一緒が良かったけどな」

「別にいいんじゃないかな?」


相当仲いいって感じだな

俺はかなり身内な会話にそう判断した


ある日俺は休み時間ラノベを読んでいた

ふと、誰かに呼ばれた気がして

顔を上げ


「誰か俺呼んだ?」


と呟いた

すると前の席の御崎がこっちを見てニコニコしてる


「僕が呼んだんだよ、君だけだったね…気がついたの」


ん?なんだ?どう言う意味かわからず

俺の頭の中は疑問符でいっぱいになった


「え?…あの…御崎が呼んだのか?」

「そうそう、心の中で、気がついたんでしょ?」


いかにも楽しそうにそう言うが

なんだ?テレパシーってやつ??

厨二病的発言に少しひく俺…


「君を友だちに決めたから、よろしく、僕のことは悠でいいよ」

「な、なんで?」

「このクラスで一番勘が良さそうだし…君のことはなんて呼べばいい?」


勝手に話が…進んでる、結構強引な性格とは知らなかった…


「和也でも、南でもなんでも…」


相手の勢いに押されてそう言えば


「じゃあ、カズって呼ぶから、よろしく」

「…よ、よろしく…」


なんだ?この急展開…

意味がわからん…


友達っていきなりこうやって決めるものなのか?


嫌なわけでもなく

興味もあった俺は

相手の言葉に流され

こうやって御崎悠とその日から友達になった

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