【第一章完結】最強能力で転生して気づいたら3000年経っていました ~神も為政者も経験したけど今は正体を隠してただの食客をやっています~
憂木 秋平
第一章 蛇王の呪い
第1話 転生したら3000年経ってた
俺の名前は、如月京介。ある日、俺は全てを断つ宝剣と全てを守る結界術と不老不死の能力を手に入れ、異世界に召喚された。
異世界に召喚されてしばらくの間、俺は自分が持ってる能力に酔っていた。
様々な種族の腕利きが寄ってたかって、俺に勝負を挑んできては、全ての勝負に完勝した。
獰猛な魔獣も、伝説の龍さえも、俺の結界術には傷一つ付けられず、宝剣の前には一太刀で倒れ伏した。
そんな日々が続き、俺の周りには次第に俺を慕い、ついてくる者たちが増え始めた。
ある者は、俺との勝負に敗れ、軍門に降りたいと言い、またある者は、凶暴な魔獣や龍から救ってもらった恩返しがしたいと述べた。
このような事を繰り返している内に、俺の敵は居なくなっていた。
俺はいつの間にか、異世界を統一していたのだ。
異世界に召喚されて、百年後の出来事だった。
俺は、手に入れた異世界を五つの国に分け、信頼できる者に、その統治を任せた。
武力でもって魔獣を屠り、世界を統一した俺は、いつの間にか人々から軍神と呼ばれ崇められるようになっていた。
その後は、平和な時代が続くこともあれば、戦争が起こることもあった。
時には、人々の手に負えない凶暴な魔獣が生まれ落ちることもあった。
俺は、時に為政者として国を統治し、時に国を救った英雄になり、時に世界を見て回る放浪者になったりもした。
そうして、あっという間に、異世界に召喚されてから、三千年もの歳月が流れていた。
その間に、国の盛衰を見て、地形が変化するのを見て、何より仲間の死を多く見てきた。
軍神として、崇められていたことも、為政者として国を統治したことも昔の話。
今は、ある町の女領主の元で、食客として召し抱えられていた。
名前は、紗雪。年齢は十九歳。綺麗な黒髪を腰のあたりまで伸ばした、つり目がちの美少女である。
彼女は、当然俺が三千年もの時を過ごしてきたことや、かつての軍神であることなど知りもしない。おかげで、食客なのだからという理由で面倒な仕事ばかり押しつけられていた。
今日も、あの女領主は、当然のように朝一番に俺の部屋に入ってくるなり、こう言った。
「今日は、朝から町の視察に出かけるから。後、一時間で外出の準備なさい。」
それだけ言って、紗雪は部屋を出て行った。
しかし、いつものことながら驚かされるのは、紗雪の行動力だった。わずか十七歳の身で、領主となってからは誰よりも身を削って働いていた。
人使いは荒いが、その代わり、誰よりも働くのが紗雪という少女だった。そのため、俺も彼女に対しては、文句の一つも無かった。
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