第18話

「なんだ、これは」

「今月のお小遣い」

「それはわかってる」

「じゃあ、なに」

ミオが忠に嚙みついた。

「十円、ってなに」

「十円知らない。飴玉買えるよ」

「そんなもの、買わんわい」

忠、激怒。

「どこの亭主が十円の小遣いで満足する」

「満足なんかせんでええ。小さな小さな

喜びに浸れればそれでいいではないか」

「誰やねん、オマエは」

「人は私のことを真珠

のミオと呼ぶ」

「呼んでへん、誰も呼んでへん」

「黄金のミオ」

「だーれもそんなこといっとらんよ」

「おもしろいように魚が釣れるな、この

氷河期は」

「意味が分かるような会話しようね、

できるだけでいいから」

「おもしろいね、あなたの顔は」

「いっぺんはったおすぞ」

「ともかくこれから一か月のお小遣いは十円、

わかった」

「ひ、ひと月十円、ヒえーい」



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