第5話

「サラ。学園には慣れたかい?」


「勉強で分からないことがあれば、何でも私に相談するといい」


「今度騎士科の訓練を見に来てこいよ。俺の勇姿を見せてやる」


「君の家は貧乏だろう。必要なものがあったら、私が買ってやろう」


「え、えっと……」


なんというかまぁ……流石ヒロイン。

もう攻略対象が集まってる。

それにしても攻略対象の残り2人、彼らも明らかにゲームと性格が違うんだよなー……。


攻略対象3人目の騎士団長子息エドモンド・シュバリエ。

ゲームでは、主を守る寡黙な騎士って感じの守られたい系のイケメン。

目の前にいるのは、ただの力自慢の脳筋って感じ。


攻略対象4人目の商人子息アレン・デュボア。

ゲームでは、お金目当てに集まってくる人ばかりで人間不信に陥っている、優しくしてあげたい系のイケメン。

あんなに金にものを言わせるタイプでは絶対なかった。


子供の時の第一王子と宰相子息も合わせて、攻略対象4人全員転生者で間違いないんじゃないかな?

4人全員、人間としてはクズなタイプな気がする。

前世の女優経験で培った人間観察力はこの世界でも健在なのは、この8年間で証明できた。

だとしたら、この4人のどのルートにも決して進めさせてはいけないわ!


サラとレイチェル様の幸せのためにも!



「サラさん」


とレイチェル様が彼らの間に割って入った。

原作ではここでレイチェル様はサラに対し、攻略対象たちに近づくなと注意をする場面。


「レイチェル……邪魔しないでくれるかな」


「私たちのクラスはこの後魔道棟で魔法の実習ですの。行きますわよ、サラさん」


「は、はい……」


「あ、おい……待て……」


殿下たちのことを無視して颯爽とサラを助け出されたレイチェル様流石です!

原作でも思ったけど、攻略対象たちが物珍しさからサラに近づくから嫌がらせが起きるんだよね。

どいつもこいつも、婚約者を蔑ろにしているのに、ゲームではハッピーエンドで終わってる。

でもここは現実。エンディングの後も人生は続く。ゲームのようにいくわけはないのだ。


「エマ。皆さんも行きましょう」


「あ、はいっ……」


いけないいけない。私たちも次の授業一緒だった。

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