断片#1

「唇や首に触れられたなら僕もドキッとしますがそれは……近くに他人がいるということへの緊張であって決して男女間の親愛ではなくて、恋なんてないのです」


彼は言葉を切りチラとこちらを見て


「……と思うのです」


と言い付けた後、下を向いた。


「僕は貴女を憎むでしょう。お望みどおりの『特別な感情』ですよ。よかったですね」


彼の声と肩は震えていた。

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