第4話
どうしたものか。
彼女らが本気で私を追ってきているのだとすれば、今日一日は行動が制限される。
追跡や備考に関しては彼女らの気配を私でさえ見抜くことは出来ないのだ。
ついて来てないとは言い切れないし、う~ん。
怪しんでいるように見えたのが頭に残っているので、どうしようか迷う。
……今日は大人しく帰るか。
ゼノンの情報を手にいれたかったが、ついて来ていた場合がややこしい。
私だとわかったのなら、彼女達はすぐさまミリネに報告するだろう。
それだけは避けねばならない。
そう思っていると、目の前にローブを被った人影が現れる。
魔法を使って認識阻害しているのか、彼女の事を誰も気にしないしよけようともしない。
ローブの人影は人混みを最小限に避けながら、こちらに向かってきていた。
こちらに気づくと、彼女はそのまま何事もなく過ぎ去る。
やはりリン・ランがついて来ているのだろう。
そのままローブの人影は人混みの中へ消えていった。
賢明な判断だ、流石はレーシアに鍛えられていることはある。
今日はつぶれちゃったな~。
そう思いながら歩いていると、ミリアの好きな白桃饅頭が売ってあった。
あんなことがあったし、疲れてるだろう。
買っていってやるか。
「これ、袋でください」
「はいよ、あれデミルさんじゃないか……久しぶりだな」
「えぇ、最近は旅が忙しくて中々戻ってこれなくて」
私の設定は旅人で魔族の領土中を旅している設定なのだ。
まぁ、ほとんどは報告の際の献上品で美味しかったのを、ミリアにもっていって精査して彼女が交渉するので、ほとんど彼女の手柄であり私はそれを伝えただけに過ぎないのだ。
「何かいい食べ物の店があったら教えてくれよ」
「だったら、私の店に来ればいい」
「違いねえ、ほれ少しおまけしといたぜ」
「ありがと」
そう言って私はお代を払い、特にやることもないのでミリアの元へ帰る事にした。
ミリア、喜んでくれるだろうな~。
白桃饅頭は絶対的に彼女が喜ぶ食べ物で部下の間で有名だ。
彼女との交渉の特に持っていけばある程度優遇はされると商人の間で言われている程だ。
「ただいま~」
「おかえり、早かったね」
「ミリアにお土産買ってきた」
彼女にお土産を見せると、嬉しそうな笑顔で涎を垂らしながら見ていた。
本当にこれ好きなんだな~。
彼女はこれが大のお気に入りだ。
買ってきたお見上げを左右に振ると、それにつられて彼女も揺れる。
なんていうか、可愛いな。
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