サクラソウ
風鈴
第1話
茶色がかった綺麗な髪、人形みたいに白い肌、ぱっちりした目が特徴的な女の子がいた。
中学2年生の時に出会ったその子に、俺は一目惚れをした。
初めて話しかけに行った時の事、初めて一緒に下校した時の事、初めて一緒に出かけた時の事。
色々な記憶をを今でも俺はよく思い出している。
一目惚れしたその日から数ヶ月後に俺は、
告白をした。
心臓の音があの子に聞こえてしまうのでは無いかと心配になるほど大きく鳴っていた。
返事は急がなくて良いと言った。
あの子は少し考える素振りを見せたあと、「考える時間が欲しい」と言った。
けど告白したその日から、俺は、無意識にあの子を避けるようになってしまった。
振られるのが怖かったのか、それともあの子と会うのが恥ずかしかったのか。
今考えると馬鹿なことをしたと思う。
結果的に俺は振られた。
俺の初恋は散った。
返事をくれた時、あの子は「これからも友だちでいたい」と口にした。
けど俺にはそれが出来なかった。
振られた相手と今まで通り仲良く遊んだり話したりする事は出来なかった。
それからその子とは疎遠になってしまい、今ではもう何をしているのかすら分からない。
あれから数年が経った。
今、俺には妻と子どもがいる。
俺は今幸せだ。
ふと思うことがある。
あの子は今、幸せだろうか。
幸せであればいいなと心から願う。
俺はあの子の何者でもなかったけど、“初恋の人”だったあの子との思い出は大切な記憶だ。
あの頃の事をよく思い出すのは俺だけだろうけど。
サクラソウ 風鈴 @nijiruru
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