第2話 ガラスの割れる音がした
実際には、硝子は、割れていない。
だが、確かに、私の耳には聞こえたんだ。
あの時、いつもの、私達が楽しく?、食事を取っていた食卓の、南側の窓ガラスが、カシャンと音を立てて割れる音を…
あれは、私が、4歳の時の話しだ。
父が、家の中から叫んでいた。
「一幸だけ、置いて行け!」と。
それは、平屋の長屋の、一軒の家で起こった話し。
私と母とは、お払い箱だが、家の宝である、長男の、私の弟だけは、置いて行けと、父は言っているのだ。
私は、父から、はっきりと、こう言われたと感じた。
お前のことは愛していないが、俺は、一幸だけは、愛しているよと。
私は、なぜか、その時に、肛門が、おかしくなった。驚きと恐怖と悲しみとでか、自分の肛門が開く感覚を覚えた。でも、うんちは漏らさなかった。
4才だったが、
ああ、私は、父には、嫌われて、捨てられたんだなと理解した。
母も私も、捨て犬の様だ。
家の中には、父と祖母。
二人がこの家の王だったんだと知った。
涙は出なかった。
肛門に強い違和感を覚えただけだった。
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