イヤホンをつけて、曲聴きながら進むだけ今日の夜
鋭角今
私ってさ
私は学校が嫌いだ。突然中学生になってそう思った。
元々、勉強はできない。運動もできない。友達は少ない。でも、心から友達と呼べる親友が1人だけいた。よく私に「可愛いのに前髪長いから顔隠れちゃってるよ~!」なんて笑顔で言う。それが当たり前みたいな明るくて幼馴染の親友。
私はそれをお世辞だと思う。実際鏡で見ると顔が隠れてて安心する。髪の内側は結構見える。いや、邪魔だけど。でも親友の事だから分かる。嘘をついている顔じゃない。そんな声じゃない。突然だが、相手はどう思ってるのか気になって聞いたことがある。
「え? 当たり前じゃん! 親友でしょ? え、そうだよね!!??」と焦りながらもフォローまでいれてくれるそんな友人が私は好き。暗い私も笑っちゃうくらい。私の事を暗いなんて決して言わない親友に私は「学校さ、しばらく行かなくなるかも」って話した。
先生とも話し合いをして保健室登校という形にはなったが、それでもあまり行けるとは思えなかったし何より足が重かった。それだけの事なの。
でもあの娘は「良いんじゃない? 別に私が会いに行くよ! でも急に押しかけちゃうのも悪いよね……う~ん、いつも通り日曜とかなら会いに行っても良い? ごはん食べに行ったりさ!」
なんて事言うのこの娘。この世の優しさ集めましたみたい……と眩しそうにしてると表情で察したのか「何その顔~!」なんて笑いあった。それでもしばらくは学校にいつも通り行っていた。けれどもやっぱり駄目だったみたいで、心が沈んだ。親友が話しかけてくれてもあまりいつもみたいに話せなくて正直に「ごめん……私やっぱりあまり声がでないや」何て言ってもいつも通りフォローしてくれる親友に心から感謝した。
学校が駄目な理由は簡単だった。
突然中学生になった瞬間みんなグループになって行動する。私はそれがあまり得意ではなかった。親友とはクラスが別で、あまり自分のクラスには馴染めなかった。話しかけて
くれない訳ではなく、ただただそのグループになるという性質に私は追い付けていなかった。だが、人付き合いが上手く、勉強もスポーツもある程度なんでもできちゃう親友はどうやらいろんなグループを渡り歩けてるみたいに見えた。
そう見えた。見えたんだよ。それを見てるとこっちに気付いて来たからビックリして固まってた。すると他の子もついてきて、親友に私の事を聞いているみたい。その時にチャイムが鳴ったから急いで席に戻ったけれどそれでよかったと思う。
だって私、親友の邪魔になるところだった。私がいない方が上手く行く気がした。そうだと思う。
だってさ、人付き合い得意じゃないもん。いつもそうだった。話しかけられても受け答えは下手だし、親友じゃないとちゃんとそれができないんだもん。妹にも言われる。お姉ちゃんって人と話すの苦手だよねってさ。そうだよとしか返せないけど。それで良いと思っちゃう自分が嫌い。そんな事もあって私は親友と自ら距離を置いてしまった。
そして不登校になった今は家で暗い部屋に転がっている。
親は不登校になった私を酷く心配した。
「大丈夫かな……」「将来でもあのままなんじゃ……」「学校行かないの?」「そう、自分のペースで良いからね」「お母さんはいつでもあなたの味方よ」「大丈夫……ゆっくりでいいのよ」
それが全部痛かった。優しすぎて痛かった。 私が情けない。ごめんね。そんな風によく泣いた。今でも泣く。
私は曲が好きだ。主にボカロを聞いては寝転がっている。そんな風に今日も寝転がっているだけのつもりでいたんだ。
このたった1つの曲を聞くまでは。
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