彼女は彼の世話をする(仮)

莢馬

Prologue

 耳を劈くほどの轟音。

 それが銃声だと気づいたのは、ことが全て終わった後。

 人影の膝が地に折れると辺りに真紅の絵の具が広がったように、サラサラとそれでいてべったりとした液体が広がっていく。

 液体は衣服にも染み込んでいき、ビクビクと痙攣をしていた。

 銃を構えていた女性はゆっくりとその銃身をこちらに向けると、淡々と告げた。


 「短い時間でも、楽しかったよ。君と初めて会う感覚、今でも忘れない」

 「だから、また、会おうね」


 そこで俺の意識は途絶えた。

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