第149話 脱線 三者会議、問い詰められるツバメさん(オジロ視点、ハクト翡翠合流前)
「ところで、お役所に届け出したってことは、ツバメは直接会ってるんだよね?」
先ずは事情聴取だ、護衛対象の事は色々知っておかなければいけない。
そもそも、先ほど見た写真を撮影したのがツバメなので、この中では唯一直接会っていると言う事に成る。
「えーと・・・・・・」
ツバメはバツが悪そうに、顔を赤くして頬をかく。 この表情と動きはアレだ、抜け駆けギルティと言う奴だ。 次のセリフが何であろうと、語るに落ちている。
おうおう、詳しい話を聞こうか? という感じに目線が鋭くなる。
こっちが女だらけのむさい所で苦労していたと言うのに。
「すいません! 正妻で十二人目と言う事で、籍入れ済んでます!」
ツバメがそんな事を馬鹿正直に白状して、頭を下げた。 余りにも正直すぎて、毒気を抜かれてしまった。
「お、おう」
「おめでとう」
モズと二人そろって、そんな気の利かないセリフしか出てこなかった。
「ところで、十二?」
既に二桁だと?
「誰と誰と誰だ?」
「こっちの報告書には未だミサゴとハチクマしかいないっての」
二人にはリビングに上がってもらって、詳しい話を聞く事にした。
引っ越しの挨拶用に、山ほど用意したオロナミンDドリンクとかを出して飲みつつ、話を促す。
未だ掃除と荷ほどき途中で、室内はかなり荒れているが、女同士なら気にすることも無いだろう。
外で話してたら、聞き耳とか立てられそうだし。流石にその数は見逃せない、護衛対象が増えてしまった。
誘拐の際に、正妻とかが踏み台的に巻き込まれる可能性とか有るのだ。
護衛としては、あくまで男性最優先だが、身内認定してるのを蔑ろにすると関係性が悪くなるので、ちゃんとソレなりのお付き合いとか大事になる。
おこぼれとか狙えるかもだし。
ミサゴとハチクマなんかは、そもそも私達としても身内なので、やりやすいわけだが。
「もっと詳しく」
モズが促す。
「ヤタお婆様と、スズメと、ツグミさんと、ツブリ姉と、私と、お客さんが三人と、保護局の護衛官が二人追加で………………」
ツバメがスマホに表示した新しい画像を片手に解説する、前半の鳥組は顔見知りだ。
「ヤタ婆様かあ・・・・・・」
「まあ、見た目的にはかなーり若いからねえ?」
少女とか幼女か、童女扱いでも構わない感じの見た目だった。
中身は何とも可愛くないのだが。
「ババア無理すんな案件とか言ったら、コロコロされるね?」
皆で遠い目をする、まあ有力者として、外れていたら逆に困る感じの人なので、納得だが。
「琥珀爺様が亡くなってからだーいぶ暗かったけど………」
時々あいさつに来た時、寝たままとか良く有った。
「翡翠さん来てから、つやつやいきいきに戻ってますよ」
「それは何よりだ」
男が居ると元気になる辺り、なんとも現金な性格をしている。
「ミサゴ曰く、どうせだから、トキ婆様と、アオバ辺りが、次の予約枠」
「その辺は順当だね?」
知っている名前が出ると安心する。
「トキ婆って、未だあの見た目?」
「うん、全然老ける様子がない」
それなら、先ず間違いなしの美人枠である、アレをほったらかしとか言ったら、その目を疑う。
「このあたりに来たって報告から一週間経たずにそれかあ……」
早いなあ……
思わず遠い目に成る。
「いや、こっち来て四日目に十一人届け出が来たの」
「うわ…………………」
「更に早い」
モズと二人で呻く。
「一日目に、親不知海岸の水没地帯でミサゴが拾ってきて、その夜にミサゴが一番権使って既成事実作って、その流れで、ハチクマ姉を護衛に呼んで、二日目に、そのままこっちのお役所に届け出だしてさ、三日目に、一日目の海岸線でライブカメラ写ってたんで、キャッシュログから追跡されたらしくて、色々バレてお客さんが殺到して、四日目に、籍入れ書類よろしくって皆来てさあ、どうせだから、私も? ってギャグのつもりで言ったら、どうぞどうぞって、そのまま通っちゃった」
そこで迷わずに跳び付きに行ける辺り、ツバメのメンタルは鋼か何かだと思う。
「おめでとう」
やっかみ半分だが、割と本気にしみじみ祝う。
「そんな訳で、多分だけど、申し込めば通る……かもしれない」
流石に最後のは願望らしく、言葉を濁し気味だ。
「そんなちょろいわけないじゃないか………………」
モズがちょっと管を巻く。
「でも、求婚するだけでしょ? 一言で女やもめの悪夢から解放される可能性が?」
「あったりなかったり~?」
モスがお道化る、ここでお道化に走って日和る辺りが、こいつの売れ残りの原因だと思う。
私? 売れてるよ! 女相手にだけど!
若干不本意である、世の中上手く行かないものだ。
「でも、良い事聞いた、ありがとう」
そんな事を言いながら、ほぼ無意識な習慣的にツバメを抱き寄せて、ぽんぽんと撫でる。
「なるほど、モテる訳だ……………」
モズの呆れ気味の言葉が響いた、今の所、モテる対象は女の子にばっかりである。
今更だが、男の子にもモテたいモノであった。
そんなこんなで、ツバメから色々聞きだした後、外に出た所で、護衛対象の翡翠を抱えたハクトと合流。
開幕で負けた所と言う、格好悪い出会いをする羽目になった。
初対面位は格好つけさせろと、内心で一瞬ハクトを恨んだが、手を握れたので、まあ良いか。
我ながらちょろかった。
しょうがないじゃないか、自衛隊は女所帯で、男なんて珍獣以下の出現率なんだから!
嫁達が不満な訳じゃない、女としての本能的なアレだからしょうがない、という事で、隙が有ったら言って見ようと、内心で気合を入れた。
追伸
例のシーン直前、段落の行間です、行間を読めと言うけど、一行の隙間でスキップしたシーン、コレだけ詰め込んでたんかと言う、作者としては笑い話。
元気ハツラツなオロナミンドリンク、田舎通貨として、何故か各家庭に常備されている。
ギフトに★3に文字付レビュー、感想に応援、毎度ありがとうございます。
因みに、★2とか★1の文字付レビューが時々ついたり消えたりしていますが、作者は消しておりません、全て有り難くイイネする所存です。
作者から見ると文字付なら★1でも嬉しいのです。当然★は多い方が嬉しいですが、文字が着くと作者の喜びが一ランク上がります。是非とも。
良かったらブックマーク、感想とか応援とか評価の★3とか文字付のレビューとかも、ご協力お願いします。
もっとレビューの星と文字と応援と感想を下さい!
こんなん幾らあっても良いので、下さい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます