第139話 ぐちゃぐちゃな公務員チーム(オジロ視点)

「所で、モズは例の人には会ったの?」

「直接的には未だ、ミサゴが先に旅館に連れ込んで居住地固定、保護局に届け出、正式に縁を固定するのに籍入れって役所に行って、病院で諸々予防接種って流れでやられると、私等の出番が薄い薄い」

「そりゃそうか」

 先に落として身内にしてから手を回した感じなのだろう。

「写真ならあるよ?」

 聞き捨てならない言葉が続いた。

「有るの?!」

 思わずギラっと目を剥く。

 こっちには書類的なデータと、証明写真用の可愛さが表現出来て無い感じの、若干残念な写真が一枚しかついて居なかったので、その写真は見ておきたい。

「でもどこから?」

「ミサゴ達が役場に籍入れの届け出した時に、ツバメとかがここぞとばかりに撮影会にしたらしくて、ソレのおこぼれを貰った感じでね?」

 一族ネットワークに流しても良い位の重要データだと思うのだが。

「まあ、色々と場を整えて置きたかったんだろうね?」

 思わずちょっと恨めし気な雰囲気を察されてか、フォローが入る。

「こんなんだよ」

 モズがスマホをすりすりと弄り、画面をこちらに向ける。

「ふげ?!」

 ちっこい、可愛い、若干困り気味にぎこちない笑みを浮かべたりしているのが、何とも生っぽい雰囲気が有って、更に強い。

 ミサゴとハチクマが並んでその大きさって。

「未成年だったりしない?」

「本人曰く、30歳のおっさんなんだって」

「嘘だあ……」

 思わず呻いた。

「戸籍無しで、稀人判定だから、自称の数字が優先されるって事で……」

「つまり合法?」

「うん……」

(ひゃあっはぁ!)

 何故か内側から湧いて出た奇声は、内心に留めた、不審人物扱いされてしまう。

 目の前の警察官は身内で、色々大丈夫だと思うが。物陰でこっちの様子に聞き耳を立てている部下嫁達の反応がちょっと怖い。

「所で後ろに居る面々は?」

 モズにも分かったらしい。

「私の所の、部下兼嫁達」

「そりゃまたお盛んだ……」

 わははと笑われる。

「ちんちん無いから百合ックスだけどな!」

 どうせなのでとノリで繋げる。

「ぶふっ」

 耐えきれずにモズが噴出して崩れ落ちた、勝ったぜ。


「天下の往来で何やってんのさ? オジロ姉にモズ姉」

「おや、ツバメ?」

 更に懐かしの、腹違いの妹分である。

「役場管理の、メインストリート沿いの空き家、こんなので良い?」

 アフターフォローに、様子を見に来たらしい。

「ありがと、ばっちり!」

 親指を立てて、笑みを浮かべる。

 建物に多少埃が積もって居た程度、土木工事にお掃除大得意の自衛隊にかかればちょろい物である。

「まったく……」

「本当に……」

 二人揃って肩を落とした。

「何さ?」

「何でオジロ姉にちんちん付いて無いんだろうってね?」

「うんうん」

「やかましいわい!」

 二人揃ってしみじみ言うな、何百万回言われた事やら。

「所で、ハクト姉は?」

「先にヤタ婆様の所に挨拶行って来るって……」

 軽く親指で、宿の方向を指さした。


「わははははははは、捕まえて見るがよーい」

 微妙に小さい可愛いのを小脇に抱えたハクト姉が、軽やかに笑いながら駆け抜けていった、後ろにムキに成って走るハチクマが続いている。

「何時ものアレか……」

 思わず溜め息交じりに呟いた、ハクトの新人訓練の際には、ノリと勢いで時々変な訓練が増えるので、フォローとか大変だったのだ。

 小脇に抱えるには、そこそこ重そうな物体だったが、伊達や酔狂で体を鍛えて居ないのだろう。


「はいぱーす」

 いつの間にか近くを一周して戻って来たらしいハクト姉に、軽い調子のアンダースロー気味に渡されたソレは、落としはしないが、柔らかくも、ずっしり重かった。

「つ・か・ま・え・た……」

 渡した瞬間の硬直時間に、ハクト姉はハチクマに捕まって潰れていた。

「そ・こ・で!」

 ハチクマの陰から出て来た小柄な影を、咄嗟にバックステップで躱す。

 スカッ

 と、思った所で、後ろの軸足を払われてしまった。

 あれ?

 受け身は?

 後ろアスファルト……被害的に後頭部強打? 背中丸める位しか?

「あっぶないなあ……」

 耳元と言うか、下からモズの声が響いた。

 背中にはアスファルトよりは柔らかな感触、モズが咄嗟に下敷きに挟まって救助してくれていたらしい。

「ありがとう、助かった」

 呆然と呟く。

「私もやってんですけどね?」

 頭の下には、足を払った犯人が、襟首に手を添えて、怪我しない様に固定していてくれていた。


「と言う事で、私達の勝ちという事で、翡翠さん救助、回収です」

 足を払った犯人の、その一言で抱えていたソレが、もぞもぞと立ち上がる。

「何と言うか、もう何が何やらですけど、怪我とか有りません? お手をどうぞ?」

 先程まで抱えていたその子、改め、海野翡翠が、困り顔で呟いて、手を伸ばしてきた。

 浴衣がぐちゃぐちゃに乱れていて、むき出しの太ももとか、パンツとか、お腹とか胸元とか、色々見えていた。

 ナチュラルにコレなのはエッチ過ぎません?

 出会いとしては、もうぐちゃぐちゃで格好悪いけど、その困った感じのはにかんだ笑みには、後光とか射して見えた。


 追申

 ハチクマ→きよら→琴理

 そんなジェットストリームアタック。

 琴理「忠臣蔵伝統、三身一体の一向二裏とまで行かなくても、2対1位に持っていければ、目上でも其れなりには行けますので」

 ハクト「ちょっと魔が差してやった、ただの訓練なので、そんなに重く受け止めないで欲しい。それと、ハチクマは純粋に重いので、早く退いて欲しい」

 ハチクマもハクトも軍服着て無いから付けていないけど、ハチクマは格闘徽章クラス、ハクトは上級格闘指導官徽章クラス、その道では化け物。

 因みに、マジだった場合、翡翠を連れて出ようとした時点で、ヤタちゃんの所から棒手裏剣のノリで簪(かんざし)が飛んで来る。畳位だったら先端が貫通した上で、突起や飾りが引っかかるまで、つまり根元まで突き刺さる、危ない事この上ない。



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