第85話 厨房のアレコレ(アオバ視点)

「何とも、食材的には珍しいなぁ......」

 翡翠さんにこれを料理してくれ食べさせといてくれと伝言付きで、トキおばあ様の病院から届いた食材が、カチカチに凍った母乳、ヒトミルクだった。

『風邪薬的な扱いでの飲ませておいてください。ホットミルクでもよいけど、高温100℃の殺菌だと有効成分が壊れて色々勿体無いので、60℃の低温殺菌でやる事』

 ああ、はいはいっと。

 注意書きの一言に目を通して、納得したと頷く。


 お湯を沸かしてくつくつと鳴ったお鍋に、温度計を突っ込む。

「ま、60℃っと」

 目測ばっちり、目当ての温度だったので湯煎状態にして、例のパウチパックを突っ込む、医療用パウチは丈夫なので120℃にしなければ溶けることもあるまい。

 中身に関してはマイナス120℃のクソでか医療用冷蔵庫の片隅で冷えて忘れられていたブツらしいので、基本的に劣化はしない事に成っている。

 何年前かは不明だ。

 ん?

 霜が溶けた部分にラベルを見つけて、しげしげとのぞき込む。

『海野ツグミ (2080/5/5)』

 わあ、20年前って、と言うか、つぐみさんのか、と成るとミサゴの時のか。

 私もおすそ分け貰った気もするなあ。

 子供の時のアレコレだ、ツグミさんが何と言うかいっぱい出る人で、妹分のミサゴが飲みきれなくて、もったいないと言うので、冗談半分に『飲む?」』と言われ、そのまま直飲みで戴いた、まあ基本女どうしなので色々せーふな出来事だ。

 懐かし。

 一人厨房で解凍を待ちつつ、思い出に浸ってくすくす笑う。

 んで、解凍できたかな?

 良い感じに解凍できた様子だ。

 ちょっとお味見っと。

 器に移して一口貰う、牛乳とは違う、なんとも優しい甘みが口の中に広がる。

 思ったより脂肪分少ないなあ、低脂肪乳?

 覚えてないけど、懐かしいのかなあ?

 腹違い兼、乳姉妹と言う奴だ、今でも近いのはそんなもんなのだろう。

 味と風味に関しても、脂肪分が酸化したり、冷凍焼けしたりの違和感は無いので、ほんとに保存状態は問題無いのだろう。

「じゃ、スズメ、届けるの頼んだ」


 一先ず一品目をおやつ扱いで飲んでおいてもらおう。


 これだけじゃ終わらすにはあれだ、せっかく解凍しちゃったのだから、プリンでも作ろう。

 砂糖にゼラチンとかしてっと、卵入れて蒸し焼きにするのが正式な作法だが、今回は高温禁止なので冷やして固める。


 よし、完成、ヒトミルクプリン? いや、もうちょっと捻って、免疫グロプリン?

 いや、事故ってるなあ、上手いダジャレだと思うけど、免疫グロブリンの字面的に主張が強すぎる。

 ツグミさんのミルクプリンとかで良いかな?

 人の名前使うなって? 残念。


 でもって、そろそろ例の翡翠さんも来る頃かな?

 病み上がりらしいから、出汁を利かせたおかゆか、おじやかな?

 プリンはデザートに食べてもらえば丁度良いな?


 追伸

 我礼アオバ(ワレアオバ)

 鳥イメージはアオバト

 料理担当、スズメ、ハチクマより年上。

 料理の腕では一番上。スズメが料理的にはコレの弟子。

 趣味は釣りと山歩きと料理、釣りはミサゴの師匠だけど、ミサゴのほうが腕はいい。

 食材と見たら何でもかんでも料理する。

 下手なダジャレを言いたいタイプ。

 関係ないが、ミサゴに石遊び教えたのはヤタ、因果なものです。

 キャライメージは例によって近況に置いてあります、ご確認ください。


 初乳の薬効、免疫グロブリンは低温殺菌ならちゃんと残るらしいです。


 保存期間に関しては、100年後なら冷蔵庫の性能上がってんじゃないかなあと言う事で。現在は医療用冷凍庫、マイナス80℃だそうです。

 永久保存と言われる精子冷凍のマイナス196℃、液体窒素保管は巨大魔法瓶、いわゆるデュワー瓶に液体窒素を揮発する度に継ぎ足し継ぎ足し直注ぎなので。自動供給にしても液体窒素作る設備は流石にデカいと言うか、コスト高いんですよね。そんな訳で、アレの中に入れっぱはリアリティライン的に何かしっくりこないので。

 100年後なら一般冷蔵庫も液体窒素のマイナス196℃に成ってたりしてたら、便利ですけどね?

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