第70話 ワニが多い話
「でも、基本全部混浴なんですね?」
脱ぎつつ、そんな事を呟く。
視線が刺さるので気を紛らわせるためのアレだ。
思った以上に人数が多く、流石にちょっと許容値をオーバー気味である。多分アレ、2時間に2回も出して賢者気味で性欲薄いせいだ、対抗に性欲貯めて来るべきだったなあ。そんな事を考える。
一番視線が多い辺りを妨害する様にハチクマさんとヤタちゃんが両側を固めている。
ポーズだけでスカスカだが。
普通に隙間からお互い、見えているし、なんなら目が合う、こうなると意味ないな。
「男の客が深刻におらんからな?、男湯なんざ作るだけ無駄じゃ、全部混浴と書いておくだけで小さく二つに分ける必要が無く、全て豪華に大きい一つで済むんじゃから、効率的じゃろ?」
「そりゃそうですね」
本気で男が少ないらしい。
「万一来たとしても、男は基本的に引きこもりの類じゃし、女共が隠しているのが大抵じゃから、部屋に内湯が有る部屋に突っ込めば問題無いし、この旅館は源泉が3つで、それぞれに大浴場があるからな? 本気でいざと言う時は要望に合わせて貸切るだけでどうとでも成る、合理的じゃろ?」
長い説明を終えると同時に、服を脱ぎ終えて、一切隠さず腰に手を当てて仁王立ちするヤタちゃん、堂々としたものであった。
ハチクマさんも特に気にした様子も無く脱いでいる。
「成る程」
内心で一連の動きと二人の裸体に見とれつつ、自分も脱ぐ。
「因みに、男が居らんでも、万一ワンチャンあるかと思って混浴と書いてあるだけでスケベな連中がそれなりの頻度で巡回するからな? 営業努力の一種でもある」
こっそりと耳元で補足説明をささやかれた、同時に裸で小さい膨らみの先端を腕に押し付ける辺り、あざとい。
「シュレディンガーの猫みたいに、蓋開けて観測するまではってアレですね」
抜け目がない一連のあれこれに、呆れ気味の溜め息交じりに返した。外れが多そうで有る、コレからは自分が当たりくじとして入れられる訳だが。
しつこいようだが、気が進まないわけではない、実際に目にして驚いただけだ。
「所で、ミサゴは?」
先ずは身体を洗い終え、ゆっくりとお湯につかりつつ、ヤタちゃんに確認する、今朝は見ていない。
「お主が来た時のHP更新で炎上して、目ざとい連中の、イマイチ理解出来て無いハズレ共が無駄に言質を求めて問い合わせ炎上しとるから、ツグミと一緒に消火活動中じゃな?」
まったく困ったもんだと溜息をついた。
「もう一括テンプレ回答とかで流しちゃダメなんですか?」
自分が火元と考えるとかなり悪い気がするが。
「何だかんだ、あいつ等真面目じゃからなあ」
ヤタちゃんがため息をつく。
「そういう意味で、ココに居る連中は当たり枠じゃ、業界的に暗黙のルールが有る事を理解した上で、自分で確かめるために、自分自身で真っ先に現地まで飛んで来るんじゃから」
呼ばれた? と言う感じに風呂に入って居た面々がぎゅるんとこちらを見る。
牽制する様に一定距離を保って横目でちらちらだったのが、ダイレクトになる、なるほど、コレは結構怖いかもしれない。現在浴場に居るお客さんが20人ほど、全体にばらけるフリをしつつこちらの一挙手一投足が見える位置取りに固まっている、
同時に乳がこちらを向いたので、そっちに目線が吸われそうだ、直ぐ近くに居るヤタちゃんとハチクマさんの裸体が奇麗なので、そこまで吸われはしない。視界に肌色多いのはとても良いのだが。
「確かにフットワーク軽くて、真贋見れる人達なんですね?」
確かにそう見ると評価出来そうである。そんな一言に合わせてこちらを見ていた面々の顔が一段階赤くなった気がした。
「そんな訳じゃ、そして、いったん上がった方が良いぞ? お主もこいつらもお互いに巻き込まれて、纏めてのぼせるオチが見える」
ヤタちゃんのその一言と同時に、頭から結構大粒の汗が、頬を伝って顎先からぽたりと湯に落ちた。
「確かに結構熱いんですよね」
確かに、肌色とか見ていると時間間隔が飛んでしまうと言うか、色々危なっかしい。
「ここ、うちの旅館では熱い方の源泉じゃからな、長湯は禁物じゃ」
補足説明が入る、前回のぼせた前例が有るので、注意した方がよさそうだった。
そもそも飯前の朝風呂で長風呂はするモノでは無いので素直に言う事を聞いて上がる事にする。
「じゃあ、いったん上がるとしますか」
ざばっとお湯から上がる瞬間、目線が集中したのが嫌でもわかった。
成る程、怖い怖い。
思わず内心で呟く。
無言でハチクマさんとヤタちゃんも続く。
「じゃあ、また後で」
残っている面々に軽く手を振って、浴場から脱衣所に移動する。
物凄く残念そうな表情と目線が突き刺さった。
(予想は裏切っても、期待には応えないとならないかな?)
内心で、そんな一言が浮かんだ。
ふぅ………
思わず大きく息を吐き出し、くるりと振り返って笑顔を浮かべて見る。
「じゃあ、ハグでもしましょうか、ここで当たりをひいた記念です」
その言葉に隣に居たヤタちゃんが、もの凄く良い笑顔で親指を立てた。
ハチクマさんが、あちゃ~と言う感じに一瞬片手で頭を抱えつつ、お仕事用らしい真面目な顔に切り替わった。
追申
このメンバーだと、ハチクマさん全然しゃべらんと言う問題が発覚しました。
追申
「貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/979548274/358865286
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