第68話 ヤタのボヤキと企み、候補者(ヤタ視点)

 

「だいぶ懐かしい夢じゃなあ.......」

 寝起きの第一声で、しみじみと、思わず口に出して呟いた。

 何十年か前位の出来事だが、昨日の事の様に思い出せる。

『眼福でした』

 この間の、裸を見せた時の翡翠のセリフが琥珀の爺と丸かぶりだ、思わずくくくと笑う。

「ったく、ミサゴの奴もネーミングセンスが無いと言うか………………」

 そこで拾うはずだった石の名前を咄嗟に付ける件は、儂のあの時の行動と丸かぶりだ。

「血は争えんと言うか、変なもん遺伝しとるなあぁ………………………]

 直系とはいえ。もう、娘のトキ、孫のツグミ、ひ孫のミサゴで3代下っている、いくら何でもと言った感じだ。

 んで、あの時は生活基盤大したの無かったから、政府の要請で指定された地方に行くのなら初期の生活費やらなにやら、補助金が出ると言う事でこっちに来た訳で。


 前回はソレで琥珀とが儂が来たんだから、次の後釜も政府から派遣されて来るので大丈夫だろうって、琥珀が居なくなってから軽い気持ちで要請出したら、思った以上に変な者が来て、ひと悶着起こして、ああなって、こうなったと。

 近くに居たのであまり気にしていなかったのだが、琥珀はSSRどころじゃない、エピックとか、レジェンドとか、そんな扱いだったのだと今更気が付く羽目になったという。

 琥珀が稼いだ遺産分は、死ぬ前に個人資産ではなく経営費として譲渡して、国債とか株券にして配当金で、うちの旅館だけと言わず、この地方丸ごとどうにか出来る程度にして、それで回せていたのだが、男が居ないと言うその空気の澱みと言うのは、思った以上に毒で.......

 中々上手く行かんもんじゃしなあ。

 一族郎党どうにかできる程度の金は有るのだが、停滞感と言うのは思った以上に辛く........

 琥珀が居ない生活と言うのも存外に寂しく退屈で。

 娘とか孫とかひ孫まで居ても、大体独り立ち出来る状態なので今更出番も無く。

 飽きて寝てばかりと言うのが最近までだったわけだ。


 長く生きていると、本気で時間感覚が無くなるので、気がつくと一日二日と言わずに三日四日寝たままと言うのも有るのだ。寿命とかそう言うのでは無いのだが、退屈は死に至る病とはよく言ったもので有る。

 翡翠が来てから本当に楽しく成ってきたので。今日もこうして朝起きられた、連日起床記録更新中だ。

 さあて、今日も元気に翡翠の本体を弄りつつ、誰かをけしかけて遊ぼう、人の恋路は蜜の味と言う奴だ。

 なんだかんだで乙女なので恋話とか大好物なのだ。

 さあて、今度は誰をけしかけるか、たきつけるだったかなあと、何なら自分がやっちゃっても良いしなあ。

 今はミサゴとハチクマが蜜月期間で優先権持っているが、多少ちょっかい出す程度は問題に成らない様子なので、これからも積極的にちょっかい出していく所存だ。


 翡翠の好み的に、実年齢は余り気にして居ない様子だから、ツグミも行けそうだし、背の高さなんかも気にしない、そこそこ大きめのミサゴが平気で、もっとデカいハチクマで大丈夫なのだから、もっと大きいハクトとか連れて来ても良いな?

 トキの奴は仕事一辺倒だから、今更翡翠にあれこれしたいかとか出てくるとも思えんし。

 と言うか、予防接種一通りやらせてからじゃ無いと不味いから、もうちょっと長丁場でのんびりやるべきか。トキの奴に説教されそうじゃし。

 それはそうと、精液採取の時にツブリの奴も落とした様子だし、ミサゴと仲が良いからスズメとか、ツバメ辺りが順当か?

 最高級品な琥珀が近くにいた影響と、政府との折り合いが悪かった嫌がらせのお陰で、この辺りは売残りしか居ないと言っても過言では無い、くっつけたい対象はいっぱい居る、是非とも翡翠には全員幸せにしてやって欲しい。

 そういや保護局の二人も何か居たなあ、多分、ハチクマの奴が推薦するじゃろうから、儂が手出しする必要は無いかな?

 記憶している面々の名前を適当に列挙しつつ翡翠を探すと言うか、ロビーで待ち伏せる。

 基本的に温泉に行くのは高確率でここを通らないと行けない筈なので、のんびり待つだけで行けるはず。流石にやってる最中に踏み込むような野暮は無しだ。


 翡翠発見っと、さあ、今日も元気に行こうと、断りも入れずに真っ直ぐ抱き付いた。




 追申

 ツバメは海岸から回収された初対面の時に路上で叫び声上げたアイツです、読み返したら誤字っていたのですいません。


「貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました」

https://www.alphapolis.co.jp/novel/979548274/358865286

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