第58話 気が付いたら居なかった(ハチクマ視点)

 翡翠さんが眠ってしまったので、今夜はもう無いと言う事で、流石に悲しいので、ちょっとだけ酒を飲ませてもらった、何だかんだで、翡翠さんは私達に気を使う様子で、とてもマナーが良い、大人しく寝ている限りは大丈夫だろう。

 そんな訳で、ミサゴとスズメなんかとお酒を飲んでみる、スズメとは飲んだことが有るけど、ミサゴは未だだったなあ。

 翡翠さんがどれだけ良くしてくれたとか、とても良かったとか、私が合流する前に、籍入れの書類書いてくれて指輪付けてくれたとか、延々と惚気てくれたが幸せそうで何よりである。

 でも酒飲みとしてはまだまだな様子で、一通り惚気たらあっけなく潰れてしまった、処女卒業は先を越されたが、やっぱり膜の有り無しで大人と言うのは無理が有るかあ。

 そんな感じにスズメと笑う。


「何だ、早いな?」

 ヤタおばあ様が折角見つけた玩具がつぶれた感じのちょっと残念そうな笑みを浮かべていた。

 片手に酒徳利とお猪口が握られている。

 子供っぽい小さな手なのだが、手慣れた感が凄い。

「代わりにつき合え?」

 ぞわっと。

 毛穴が閉まった。

 ヤタおばあ様は明らかに私達より小さいのだが、武道家と言うか、生き物として階級が一段違うのだ。

 妖怪扱いも止む無しと言ったところである。

 なお、立派な人間である、妖怪云々はあくまで比喩だ、ボルバキアとかが変な適応起こしているだけだと言う建前で。

 正直誰も信じていないが。

 あの身長とツルペタロリボディはどうでも良いけど、肌艶とか色々人外だと思うんだ。

 で、二人で潰された、ついでに途中からトキおばあ様も追加だった、私等は扱い的に分家筋なので若干弱いのだ。進められると弱い、いや、普通に良い酒が出て来るので、圧倒的に酒の味で殴られると断れないのだ、つぶれる瞬間までお酒美味しいです………

 この土地は美味しい米所持ってる北国の福潟県、酒が美味しい福島と新潟系の地酒が山ほど在庫に有るのだ、勝てるはずないじゃないか。

 ついでにおつまみの肴も有力者の二人が混ざると良いの出て来るんだもん。

 そんな訳で、色々どうしようもなかった。

 べろんべろんである。

 欲が有るとすれば、翡翠さんとも呑んでみたかったなあと。

 酔わせて本音とか聞いてみたい、本当に私なんかの事を綺麗だと言ってくれていたのかとか、ミサゴの事とか、ヤタおばあ様の事とか、色々。

 トキおばあ様の方もそろそろお歳なはずなんだけど、やっぱり人外だった。

 何だろあの肌艶とかハリとか。

 いくらこの温泉が肌艶、若返りと子作り系だからって、それにしても限度があるって。


 そんなこんなで夕食とか晩酌を終え、部屋に戻る、監視カメラの方でチェックした限りは翡翠さんは未だ眠ったままだ、私の部屋から覗けるようになっている。


 念のため許可を取った所、ホテルとかには付き物ですしと笑われた。

 本当に大胆で強い……

「何なら添い寝でも良いですよ?」

 不意打ちの返答に思わず鼻血が出るかと思った。

 襲っちゃうので、流石にアウトですと、必死に踏みとどまった。

「別に良いのに?」

 魔性ってこういうの言うんですね………

 鼻血と言わず変な物が出そうだ、もう排卵済みで良かった、遅れてたら絶対このセリフで出てた。

 じゅんって変なの出て来るけど、お腹がキュンキュンしてるけど、ドクターストップもかかってるんで、未だお預けです。

 そんな感じの鋼の自制心で踏み止まった。

 で、翡翠さんの顔が赤いなと測ってみたら、38℃あった、翡翠さん的には割と高かったらしい、やっぱり無理って事で、お休みください!

 私達としてはちょっと有るかなぐらいだけど、翡翠さんには高いらしい、そんな訳で念入りにお休み下さいと布団に詰め込んだ。

 ふぁさーっと掛布団をかけ、試しにトントンしてみた所、何だかんだ、一瞬で寝落ちしてしまっていた辺り、結構無理していたらしい。

 危ない所だった………

 寝顔とかも無防備すぎてやばいので、自制心がガリガリ減ったけど、今の所セーフです!


 そんな訳で、寝かせた後、酔いつぶれて自室に戻って来たのだが、未だ翡翠さんは寝たままだ、何かあったら何時でも呼んでくださいと言ってあるので、大丈夫かな?

 そんな訳で、一旦眠らせてもらおう。


 で、酔いつぶれていた私も一瞬で寝落ちした訳だ。

 そして、深夜目が覚めて確認したら翡翠さんが居なかったと。

 真っ青な顔で建物内の監視カメラのログを全確認して、全力疾走で駆け出した訳だ。

 めっちゃ着崩れしたけど、正直それどころじゃないんですよって事で!


 そして、おばあ様達に囲まれて楽しそうにお酒飲んでいる翡翠さんを見つけた次第だ。

「今なら混浴無罪じゃし、翡翠の調子も良さそうじゃから、負担に成らない範囲でなら許すぞ?」

 湯から上がったヤタおばあ様からそんな許可が出る、いや、良いの?

 横に居たトキおばあ様も文句を言わないので、一先ず大丈夫?

 …………

 ……………

 いやっほう?!


 思わず踵を返して脱衣所で全力脱衣をかまして、脱衣所備え付けのタオル片手にお風呂に戻って来た。

 では、失礼します!


 追申

 何だかんだ、こいつ等は平熱高めです。

 良かったら感想とか応援とか評価の★3とかレビューとか、ご協力お願いします。

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