歴史視の転生者〜失われた文明の知を紐解く〜
@madoromin
第1話 目覚めし異界の空
俺は、いつの間にか眠ってしまっていたのか、ぼんやりと目を開けた。
何もかもがおかしい。
眼下に広がるのは、金色の草原。
空は、どう見ても自然な色じゃない。
まるで絵の具をこぼしたような、赤や緑が混ざり合った空。
そして、頭上を飛ぶのは、二つの尾を持つ鳥。そう、鳥だ。
俺は頭を抱えた。
これは夢だと言い聞かせる。
だが、地面の硬さや風の匂いが、これが現実だと教えてくる。
「ここは……どこだ?」
そんな俺のつぶやきに、どこからともなく一人の少女が近づいてきた。彼女は、見たこともないような青い髪をしていて、耳は尖っていた。まさか、エルフ? でも、エルフって、本当にいるのか?
「迷っているの? ここはリューメリアの草原よ。でも、君は……」
彼女は、首をかしげながら俺をじっと見ている。俺は答えようとしたけど、言葉が出ない。俺は一体、どこから来たんだろう。記憶が、ぼやけている。
「名前は?」
彼女の問いかけに、ようやく口が動く。
「俺? ああ、俺の名前は、昭文。土屋昭文だ。」
「土屋昭文……? なんだか不思議な響きね。私はリリス。この草原で迷う人を助けるのが、私の仕事なの。昭文、一緒に村まで来ない?」
不安と戸惑いの中、リリスの手が差し伸べられた。俺はその手を取り、立ち上がる。足元には、普通じゃない大きさの花が揺れていた。俺は、この不可解な世界に一歩を踏み出す。
「ありがとう、リリス。助かるよ。」
彼女は笑うと、草原を歩き始めた。
俺は、その後をついていく。
未知の世界に足を踏み入れた驚きと、不思議な少女との出会い。
この瞬間から、俺の冒険が始まったのだ。
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