第18話 黒いスーツの男

2017年…10月4日…


僕は実家の2階…自分の部屋に居た…


カレンダーの日付を何度も確認したくなるほど、頭の整理が追いついていない


予想外だったのは

2013年の夏から2017年の現在まで

自分が歩んできた年月の記憶があること


スマホも随分と高性能になったもんだ…


そういえば東京オリンピック開催決定ってニュースで言ってたな…






トモキと石階段から落ちて

世界にノイズが走る、あの景色…

その記憶が薄くなってきている…


2013年の夏…僕とトモキは軽トラックに轢かれて生死を彷徨った…

この記憶は何なのか?…


…軽トラックは僕たちを轢いた?


ユキが遅刻して…


いや…ユキは先に到着していた…




僕の中で同時刻の記憶が混合している…


これからどうすればいい??


記憶の中のトモキは…

今も普通に…生きている…


あの夏から4年後…

僕はこれから何をすればいい??



……黒いスーツの男…


とりあえず、あいつを探して情報を得るか…











実家の1階に降りると、母親と黒いスーツの男が楽しそうにリビングで話していた


「あらアキラ、丁度よかった」

が来てたから、今呼びに行こうと思ってたのよ」



「よーっ!アキラくーん!」



……よーっ!じゃねぇよ!

アンタそんな陽キャラだったか!!?

ってか何で家に居る??


「お、おう…」

「じゃあ…出かけるか!」

僕は適当に話しを合わせてスーツの男と家を出た…










黒いスーツの男は、トモキよりも少し背が高い……たぶん身長180センチくらい


アスリートみたいな身体つきで、顔も濃いが、歳は僕と同じくらいか…


トモキも濃いめの顔だが、さらにワイルド版みたいなイメージ…








「僕はこれからどうすれば?」

「トモキは生きてるけど、このままじゃダメなんですよね?」


「ユキとマユミのこともあるし…」

「アンタや、あの時計のことも…」

「僕は知らないことが多い…」


僕とスーツの男は実家近くの公園で話しをすることになった




「そうですね…私と時計のことは後ほどご説明するとして、今何が起こっているのかを説明いたします…」 



「今…佐々本 輝さんと、宮下 智樹さんは…」

桜井さくらい 友希ゆきさんの創ったにいます」





「……………え!?」





「このループは、の為に創られたものですが、それには私達も関わっております」



「なぜ、私がアナタにこの事を話すのか…」

「…それは、アナタにこのループを壊して頂きたいからです」






!!!?

「時間のループ?……を壊す?」


映画でも見ているかのような説明に戸惑った僕だが、冷静に考えると過去の自分の記憶が混合している事実に納得がいく部分もある…



僕とトモキは、ユキとマユミに弄ばれているのか?


でも、何のために?……そもそもどうやって?







「アナタと智樹さんは、様々なエンディングを迎えながら…」


「何度も何度も同じ時の流れを繰り返している」





『智樹さんが死に、アナタが助ける』



『アナタが死に、智樹さんが助ける』



「その繰り返しを、何度も…何度も…」


「お二人の寿命の間隔を細かく調整しながら、今回で完璧なループが完成しております」





…マユミの言ってたって…

僕とトモキが永遠に死に続けるシナリオってことなのか??


………全く意味がわからない…




ユキがそんな事をする人だなんて…


…何か…まだ何かあるはずだ…







「本来なら、1人の人間に過去や未来の事を話すなんてありえません」

「しかし我らも止められなかった…桜井 友希さんを、マユミという人物を…」



「佐々本 輝さん…」

「どうか、この時間のループを壊し…」


「アナタに…」






『桜井 友希さんを殺して頂きたい…』

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