CLOCK-クロック-

今宵ノ月

case1 トモキとアキラと私

第1話 アキラ

大学4年の秋、俺は大手の某ゲーム制作会社から内定を貰い、残りのキャンパスライフを親友のアキラと適当に遊びながら過ごすつもりでいた。


アキラは俺よりも優秀で、やさしくて、頭のキレるヤツだ。

社会人になったら、同じ会社でもあいつの方が出世するに違いない。


アキラとは大学で待ち合わせをしている。

二人で内定祝いの計画を立てるためだ。

当然、女子も呼んで(彼女には内緒)飲みまくる。

あいつもマユミって子と最近別れたばかりだから、きっと喜ぶはず。




アキラは笑っていた。




大学の屋上で俺を見下ろしながら。







華奢きゃしゃな形の線香花火が、ゆっくりと落ちていく。

最後の火花が散っていくその光景を、俺は静かに見ていた。




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