曖昧に恋は始まらない
@takeutitakuto
第1話 旅行先
大学2年生の時、3人で旅行に行った。そこで初めて3人のLINEグループができた。最初のグループ名はもう覚えていない。確か、「ーー旅行!」みたいなありふれた名前だったと思う。親友と彼女と僕の最初の繋がりだった。残念なことに、スマホの乗り換えをした時にトークルームの履歴は消えてしまったけど、今見返せるなら最初僕達がどんな会話をしていたのかもう一度見れたらいいなと思う。
本当は僕と親友の二人旅行の予定だった。二人とも空きコマだったので自主練をしていた休憩時間のことだ。
「おい、さばとーこの夏どこ行く?」
「そうだねぇ、最近運動不足だから運動もできるような旅行先がいいなぁ」
「ゲェ、お前こんだけ毎日テニスしてんのにまだ運動がしたいのかよ」
「毎日ってショータは結構サボってるじゃないか…」
ショータはサボり癖が結構あるやつで部活も毎日くるわけじゃない、でも、レギュラーなのがムカつくやつだ
「俺様は部活じゃなくてバイトが忙しいのよ、この前も授業すっ飛ばしちまった」
「そんなことばっか言って…また学期末にレジュメコピーさしてくれーはなしだからな」
「わかった、わかった、それでどこ行く?」
「そうだねぇ、虎野古道とかどうかな、結構歩くみたいだしいい運動になりそう」
言った瞬間、ショータは再びゲェという顔でこちらを見た。
「お前はいったい旅行をなんだと思ってるんだ…、もっと日頃の疲れをだなぁ」
と、そこで部室のドアが開いた。
「あれ?二人とも何話してるの?」
「るーかさん(ちゃん)!」
るーかさんは、僕たちと同じ1回生で硬式テニスには貴重な、貴重な女子部員だ。
体型は小柄な方だがコンパクトなスイングと滑らかなフットワークで一年生にしてすでにエースだった。
「なんか、虎野古道って聞こえた気がするんだけど、気のせいかな?」
「気のせいじゃないっすよ、さばとがこんだけ毎日運動してるのに旅行でも運動したいとか冗談じゃないって…」
「いいじゃん、虎野古道!私実家があっちの方なんだー」
「へー、るーかさんあっちの方が地元なんですね。」
「うん、でも通うとなると2時間ぐらいかかっちゃうから下宿してるの。でもお盆ぐらいは帰っておいでって、だからもし行くなら声かけてね」
そういうと、彼女はまた自転車に乗って行ってしまった。
「おい、虎野古道の観光名所調べような」
僕らの旅行先が案外簡単に決まった。
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