936 この世で一番逢いたかった人

 酔っぱらって、散々泣き散らかした素直ちゃん達一行だったが。

完全に酔いが回ってしまったのか、その場で寝てしまったので、別の部屋に移送。


そんで、本日の女難を振り返りながらもオナニーして寝ようとしたら……


***


「なっ、奈緒さん、ちょちょちょ!!どうしたんッスか?」

「ふふっ、どうしたもこうしたも、昨日、仲居間さんから電話があってね。元気になったクラの顔を拝みに帰って来たのよ」

「うぉ!!マジっすか!!」

「マジ、マジ。だって現に私が此処に居るじゃない」


此処でまさかの!!リアル奈緒さ~~~~ん登場だとぉ~~~!!

しかもワザワザ、俺の、こんなショウモナイ顔を見る為だけに、アメリカから金を使ってまで帰って来てくれたって言うんッスか!!


もし本当にそうならアナタは、正真正銘の神の中の神ですよ!!



「……まじッスか」

「うん。まぁそうなんだけどぉ。……それはそうとクラ」

「あぁ、はい、どうしたんッスか?」

「それ……なにしようとしてるの?凄い格好だけど、パンツなんか持って、なにする気?」


・・・・・・


いや、あの……今からチンコ弄りを少々嗜もうかと。



「えぇっとッスね。これはッスね。……実は、そろそろ寝ようかなぁと思って、着替えおば……」

「ふ~~~~ん。部屋でパンツまで履き替えて、ティッシュを横に置いて寝るんだ」


いや、ほら、そこは……なんか、少々風邪気味なもんで。


昨日、山中ん家で泊まった際に、軽く風邪でも引いちゃったんッスかね?


どうにも鼻水がね……


ってか、奈緒さんの登場が、あまりにも衝撃的だったとは言え。

俺、なんちゅう間抜けな格好のまま、奈緒さんと話をしてんだよ。


パンツをずらそうとしたままの格好で話を続けるって、どう言う神経してんだよ俺は?



「あぁ、まぁまぁ、そんな事よりッスね。まずは中にどうぞどうぞ。寒かったでしょ。遠慮なく上がって下さい」

「なにそれ?私が、クラの家で遠慮する訳ないでしょ。それと、なんか誤魔化してない?正直に、なにする気だったか言ってみ」

「いやいやいやいや、なんも誤魔化してないッスよ!!まぁまぁそんな事より、自分の家だと思って寛いで下さい。……ってか、解ってるなら、敢えて、聞かんで下さい」

「はいはい。それで正解な訳ね」


そう言って奈緒さんは少しだけ微笑みながら、俺の部屋の中に入って来てくれた。

俺は早速グツが悪いので、ふかふかの座布団を奈緒さんに渡して、暖房の温度を2度ほど上げて彼女の冷えを緩和する。


おぉ、にしても、あれだな。

こうやって1年ぶりに見る奈緒さんの顔は……やっぱ綺麗だな。


つぅか、この人、また一段と綺麗になってるしよ。


ホント、いつ見ても奈緒さんの笑顔は最高だよな。



「あぁ、あの、奈緒さん。それにしても、マジですんませんね。俺なんかの為に、わざわざアメリカから戻って来てくれたんッスよね」

「なになに、こんなの当然当然。クラの為なら、地球の裏側からでも帰って来るよ」


ぐはぁ~~~!!

矢張り、俺なんかみたいなヤクザ者には勿体無い様な俺専用の女神様は居た……


この人の以上の最高神なんて、この世には存在しねぇな、こりゃあ。



「もぉ、奈緒さ~~ん好きッス。大好きッスよ」

「それは、前から十分に知ってる、知ってる。……ってかさぁクラ。部屋、なんでこんなに汚いの?前に来た時は、こんなに散らかってなかったよね」


そこに関しましてはですな。

今、隣の部屋で寝ているお馬鹿で、お人好しな酔っ払い連中によって散らかされました。

そんで今、その散らかした張本人であるソヤツ等は、スッカリ気持ち良く寝てますけどね。


あぁけど、この状況を説明するには、また俺の昏睡の話からしないといけないよな。


まぁ、相手は奈緒さんだから、此処は丁寧に説明するか。



「いや、それがッスね。俺、実は……」

「あぁ、アメリカでの件なら説明はいらないよ。私、何度もクラのお見舞いをしに、病院にも行ってるからね」

「あれ?俺が昏睡してた事は知ってたんッスか?」

「勿論。仲居間さんから手術の件もキッチリ聞いてる。だから、クラが昏睡させられた時は、仲居間さんを、何度殺しそうに成った事か」


あぁ……そうなんだ。

じゃあ、此処で余計な説明は不要なんだな。


って言うのもな。

流石に、この一件とは完全に無関係な素直達が横の部屋で寝てるから、こんな話は、あんまり大きな声でする様な話でもないからな。


どうしたもんかと思ってただけに、実に、ありがてぇや。


あぁ、それはそうと奈緒さん。

あの馬鹿を殺そうとするのだけは辞めた方が良いですよ。

恐らくアイツを殺したら、とんでもなく性質の悪い呪いが振り掛かって来そうですし。


アイツの呪いとかに成ったら、猫や蛇なんかは当然として。

全世界で特級呪物と呼ばれている物ですら、簡単に裸足で逃げ出す様な代物だと思いますんで。



「あぁ、いやいや、ホント申し訳ないッス。俺が間抜けにも昏睡なんかしたもんだから、奈緒さんには余計な心配を掛けちゃいましたね」

「良いの、良いの。クラなら、私にどれだけ心配を掛けても良いんだよ。それにもぉ、そんなの終わった事、終わった事。気にしない、気にしない」


奈緒さんって、アッケラカンとこう言う事を言うんだよな。

俺の事となると、どれだけ自分に負担が掛かろうとも、基本的にお構いなし。


これじゃあ、ドッチが彼女で、彼氏か解ったもんじゃねぇな。


……っとまぁ、そんな事よりもだ。

そうやって、昏睡中、見舞いに来てくれたのは良いんだけど。

奈緒さん……俺が昏睡した明確な理由までも知ってるのかのぉ?

それに眞子とも知り合いの様だったけど、あの『アイツの有り得ない事実も知ってる』と判断した方が良いんだろうか?


この様子だと『手術で昏睡した事だけが知らされている様な気がするんだが』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君の下半身の上下運動を止められる唯一の存在、奈緒さん登場!!(笑)


しかもこの人、倉津君の顔を見る為だけに、わざわざアメリカから帰国したみたいなんですが……全米でも人気が爆発してるアーティストが、そんな無謀な真似をして大丈夫なんですかね?


まぁ、大丈夫だからやってるんでしょうけど。

そんな所も奈緒さんらしいと言えば、奈緒さんらしいんですけどね(笑)


さてさて、そんな中。

次回は、何処まで奈緒さんが、倉津君の昏睡した事情を知っているのか?を、倉津君が聞いて行く回に成るのですが。

現実的には全てを知る奈緒さんが、此処をどう上手く説明するのか?


そこに注目して頂けたら嬉しく思いますので。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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